【競馬】追悼ステイゴールド。ドラマの続きは産駒に託して (3ページ目)
ステイゴールドは“超大物牡馬”オルフェーヴルを残した。2014年から種牡馬入りしたオルフェーヴルの種付相手を見てみると、ビワハイジ(最優秀2歳牝馬、ブエナビスタやジョワドヴィーヴルの母)、スイープトウショウ(宝塚記念などGI3勝)、キストゥヘヴン(桜花賞)、ブラックエンブレム(秋華賞)、エアトゥーレ(皐月賞馬キャプテントゥーレの母)、レーヴドスカー(最優秀2歳牝馬レーヴディソールの母)、ディラローシェ(春の天皇賞馬フェノーメノの母)、コートアウト(安田記念勝ち馬ストロングリターンの母)、ニキーヤ(フェブラリーS勝ち馬ゴールドアリュールの母)など、JRAGI馬とその母が目白押し。その他にも多くの海外GI牝馬に種付けを行なっており、生産者の期待の大きさがわかる。ディープインパクトも既に後継種牡馬を送っているが、今のところ、これほどの繁殖牝馬を集められる馬はいない(今後出してくる可能性は大)し、“血を残す”という点では一歩リードしていると言って良いだろう。
また、種牡馬としてのステイゴールドを語るにあたって欠かせないのが“史上最強ステイヤー”の異名を持つメジロマックイーン(1991~92年の天皇賞・春連覇などGI4勝)との相性だ。オルフェーヴル、ドリームジャーニーの全兄弟に加えGI5勝のゴールドシップ、GII勝ちのフェイトフルウォーと、数少ないメジロマックイーン牝馬との間から、現在までに4頭の重賞勝ち馬を送り出しており、種牡馬としては期待に応えられなかったメジロマックイーンの血を蘇(よみがえ)らせて、オールドファンを喜ばせている。
夢の続きは、将来性豊かな産駒が引き継いで
ステイゴールドには現在、3頭の後継種牡馬が存在しており、今年、ドリームジャーニーとナカヤマフェスタの初年度産駒、つまり、直系では初めての孫(母の父としては重賞勝ち馬クリスマスなどがいる)がデビューする。いずれ、ゴールドシップやフェノーメノも種牡馬入りするだろう。後継種牡馬としては、絶対的能力の高さから多くの名牝を集めているオルフェーヴルに対する期待が大きいだろうが、欧州で大発展しているデインヒルを母系に持つナカヤマフェスタとフェノーメノにも世界に通用するポテンシャルを感じさせる。オルフェーヴルに限らず、この2頭の産駒たちも世界に羽ばたいていって欲しいものである。
ステイゴールドにはまだまだ長生きして、個性的な馬を出し続けて欲しかったが、父譲りの愛されキャラでもあるオルフェーヴルをはじめ、楽しみな後継種牡馬が残っている。現役時代からファンに愛され、種牡馬としても頼もしい息子=跡継ぎを残したこの一生は、サラブレッドとしては幸せなものだったのではないだろうか。その血は残り続け、我々はその想いを産駒や子孫たちに託すことができる。好きな馬の血統を追い続けて応援するというのも、競馬の醍醐味の一つである。ステイゴールドを思い出させるような、個性的で魅力的なスターホースが、また現れることを期待して、これからも競馬を見ていきたい。
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