【競馬】ディープ産駒の「遅れてきた大物」ゴールドコースト

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara

厳選!新馬情報局
第29回:ゴールドコースト

 多くの3歳牡馬が春の目標に掲げているのは、牡馬クラシックの皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)と、日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)。はや数カ月後に迫ったこの舞台に立つには、すでにデビューしていることが重要だ。いまだキャリアをスタートできていない3歳馬は、体質が弱かったり、気性に難があったりして、順調に調整が進んでいない可能性が高く、厳しい状況にあると言っても過言ではない。

ゴールドコーストの父ディープインパクト。現3歳世代にも有望な産駒が多数いる。ゴールドコーストの父ディープインパクト。現3歳世代にも有望な産駒が多数いる。 とはいえ、これからデビューを迎える馬の中にも、徐々にスタッフの評価が高まって、大舞台を目標にとらえている馬がいる。栗東トレーニングセンター(滋賀県)の橋田満厩舎に所属する、ゴールドコースト(牡3歳/父ディープインパクト)がそうだ。

 アドマイヤベガで1999年の日本ダービーを制し、クラシックのタイトルを手にした橋田厩舎。他にも、サイレンススズカやアドマイヤグルーヴなど数多くの名馬を管理して、GIタイトルも多数獲得している。そんな名門厩舎が評価する馬となれば、やはり期待は高まる。

 本格的な調教を始めた当初、ゴールドコーストは決して目立つ存在ではなかった。しかしその後、じっくりと調整を進めていくうちに動きが良化。軽快な走りを見せるようになり、次第にスタッフからの期待が集まり始めたという。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「入厩して最初の頃は、モサッとした走りだったのですが、次第に調教でも動くようになって、フットワークも素軽くなってきたようです。そして年が明けると、厩舎スタッフからも『馬っぷりはまずまずだし、何より追ってからの反応がいい。ディープインパクト産駒らしくなってきた』と、前向きなコメントが出るようになってきました」

 ゴールドコーストは、12月25日にゲート試験を合格。あとは、デビューに向けて調整のピッチを上げていくのみだ。が、さすがにここまでデビューが遅れている分、体質が強いというわけではない。デビューに関しては、「調教後の馬体の状態次第です」と、先述のトラックマンが説明する。

「ゴールドコーストは、調教で一度負荷をかけると、どうしても疲れが残ってしまうそうです。それもあって、デビューが延び延びになったみたいですね。ただ、ゆったり調整する中で、体質面は確実に強化されてきているようなので、2月中には初戦を迎える可能性が高いと思います。体質の課題さえクリアできれば、期待できる馬です」

 デビューが遅れることは、クラシックを狙ううえではマイナス材料となるが、馬の成長に合わせた調整こそが、その馬の才能を開花させるカギとなる。

 ゴールドコーストは、クラシック戦線を賑わす"遅れてきた大物"になるのか。デビューを控えたこの若駒の存在を、頭の片隅に置いておいても損はないかもしれない。

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