【競馬】日本競馬の発展を願う「外国人牧場長からの提言」 (3ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Getty Images

「同様に、オーナーになることの魅力をPRすることも大切。例えば、2009年の日本ダービーを制したロジユニヴァースの馬主さんは、同馬が馬主になって最初にデビューした馬でした。自分の馬でダービーを勝つだけでもすごいことなのに、最初のデビュー馬がダービーを獲るなんて、ちょっと夢のような話。JRAはそういうサクセスストーリーやエピソードを、もっと大々的に紹介すべきではないでしょうか。そうすれば、馬主の存在価値も上がって、馬主に対する一般的な興味も高まっていくと思うんですけどね」

 競馬ファンを増やすためのプロモーションは多数あるものの、新たな馬主を増やすための取り組みはあまり多くないのが現状。その中で今後は、「もっと馬主という存在にスポットライトを当てるべき」というのが、スウィーニィ氏の提案だ。

「プロモーションだけでなく、馬主の人たちをサポートする仕組みも必要。例えば、馬の見方や競走馬を買ううえでの注意点などを教える機会があればいいかもしれません。今は調教師に任せている方が多いですが、自分の目で探せれば、オーナー自身も楽しいはず。生産牧場として、私たちもそういった試みができないものか、考えていきたいと思っています」

 日本競馬がより発展するためには、まずは競馬や馬主のステータス向上が不可欠だという、スウィーニィ氏。次回も、「まだまだ他にもやるべきことがある」というスウィーニィ氏の日本競馬に対する提言をお伝えしていく。

(つづく)

  ハリー・スウィーニィ

1961年、アイルランド生まれ。獣医師としてヨーロッパの牧場や厩舎で働くと、1990年に来日。『大樹ファーム』の場長、『待兼牧場』の総支配人を歴任。その後、2001年に『パカパカファーム』を設立。2012年には生産馬のディープブリランテが日本ダービーを制した。
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