【競馬】エリザベス女王杯は「人気落ち」ヴィルシーナが狙い目

ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

 11月16日に開催されるエリザベス女王杯(京都・芝2200m)。3歳牝馬と古馬牝馬による、秋の「統一女王決定戦」として、すっかり認知されてきましたね。

 ただ今年は、古馬牝馬最強のジェンティルドンナ(牝5歳)に、3歳牝馬の事実上ナンバー1と言えるハープスター(牝3歳)が出走しません。ゆえに、「統一女王決定戦」とまでは言い切れないかもしれませんが、例年に比べて、出走メンバーの平均レベルは高いと思われます。古馬、3歳馬それぞれのトップが不在とはいえ、十分に価値のある、ハイレベルな一戦になったと言えるのではないでしょうか。

 粒ぞろいのメンバーの中で、最も注目しているのは、前述のハープスターをオークス(5月25日/東京・芝2400m)で下したヌーヴォレコルト(牝3歳)です。

 ハープスターが勝った桜花賞(4月13日/阪神・芝1600m)で3着だったことや、ハープスターがオークスで「負けて強し」というパフォーマンスを見せたこと、さらにハープスターが世界最高峰の舞台となる凱旋門賞(6着)まで駒を進めた実績などから、どうしてもハープスターより下に見られてしまいますが、実際のところは、ヌーヴォレコルトもハープスターと遜色のない実力の持ち主だと思っています。その分、ジャパンカップ(11月30日/東京・芝2400m)でハープスターとの再戦が見たかった、というのが本音です。

 そういう意味でも、ヌーヴォレコルトは、エリザベス女王杯では最有力馬に挙げられます。

 確かに、前走の秋華賞(10月19日/京都・芝2000m)では、2着に敗れました。しかしそれは、京都・内回りの芝2000mというトリッキーなコースで、圧倒的な1番人気だったという、厳しい状況にあったからだと思います。

 前半1000mのラップが58.0秒というハイペースで進んだ、このレース。ヌーヴォレコルトの位置は中団の内側でした。これは、レースのペースを考えたら、理想的な位置取りだったと言えます。そのまま内側を追走し、直線に向かっていけば、おそらく勝てるだろう、と見ていました。が、4コーナーを前にして鞍上の岩田康誠騎手は、「内はゴチャついて、前が詰まってしまうのではないか」と考えたようでした。

 結果、直線に入るところで外に出して追い込みました。この、最後に外に出したことによるロスが、勝ったショウナンパンドラ(牝3歳)との差(クビ差)になったのでしょう。

 しかし、この岩田騎手の選択は責められません。GIレースで、それも1.5倍という断トツの人気馬に跨(またが)ったとすれば、包まれる恐れがある内を、一か八かの勝負で突いていくわけにはいきません。外に出したほうが間違いなく力を出し切れますし、何より馬の身のことを考えれば、安全な選択です。しかも、馬の手応えは十分にあったのですから、騎手としては当然の道を選んだと思います。むしろ、岩田騎手の乗り方は非常にうまかった、とさえ言えます。

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