【競馬】安田記念で波乱を起こす、驚異の「香港マジック」

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 日本ダービー(優勝ワンアンドオンリー/牡3歳)の興奮がいまだ覚めやらぬ中、6月8日には「春のマイル王決定戦」安田記念(東京・芝1600m)が行なわれる。

 今年は、ドバイデューティフリー(3月29日/UAE・芝1800m)を制したジャスタウェイ(牡5歳)をはじめ、日本のマイル(1600m)GI馬が7頭も参戦。さらに、勢いのある上がり馬や、復活の狼煙(のろし)を上げた素質馬なども加わって、非常に興味深く、ハイレベルなメンバーがそろった。

 断然の1番人気は、ジャスタウェイで間違いないだろう。

 なにしろジャスタウェイは、前述のドバイデューティフリーの鮮やかな勝ちっぷりが評価されて、目下のところ、IFHA(国際競馬統括機関連盟)の発表する「ワールドサラブレッドランキング」では、単独1位にランクされている。つまり、現在の世界チャンピオンに相当する存在だ。

 遡(さかのぼ)れば、昨年の天皇賞・秋(2013年10月27日/東京・芝2000m)では、のちにジャパンカップ(2013年11月24日/東京・芝2400m)連覇を果たし、ドバイシーマクラシック(3月29日/UAE・芝2410m)でも勝利を挙げたジェンティルドンナ(現牝5歳)を4馬身も千切った。以来、一気に本格化して、世界の頂点にまで上り詰めた。その勢いからして、帰国初戦でも能力全開が見込まれるのは、自然な流れだ。

 しかし、わずかながら不安材料もある。ジャスタウェイの主戦である福永祐一騎手が騎乗停止処分(6月7日~15日までの期間)を受けたことだ。結果、安田記念でジャスタウェイの手綱をとることができなくなり、鞍上は関東のベテランジョッキー・柴田善臣騎手に替わった。

 柴田騎手は過去にもジャスタウェイに騎乗。毎日王冠(東京・芝1800m)で2年連続(2012年、2013年)2着という結果を残している。その相性から不安要素は見えないが、もともと柴田騎手は今回、サダムパテック(牡6歳)に騎乗すると見られていた。その突然の乗り替りが、人馬それぞれに何かしら影響を及ぼすことがあるかもしれない。

 また、ジャスタウェイ以外の有力馬も、決して安泰とは言えない。とりわけ、マイルCS(2013年11月17日/京都・芝1600m)の勝ち馬トーセンラー(牡6歳)をはじめ、ワールドエース(牡5歳)、ミッキーアイル(牡3歳)など、上位人気が予想されるディープインパクト産駒7頭には嫌なデータがある。

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