【競馬】ダービーは、騎手の優勝経験がカギ
ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」
「競馬の祭典」日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)がいよいよ開催されます。
ダービーが「祭典」とまで言われるのは、騎手をはじめ、調教師、馬主、厩舎スタッフ、生産者など、すべてのホースマンが憧れ、目標とするレースだからです。当日の競馬場はもちろんのこと、ダービー開催週のトレセンは、有馬記念や天皇賞といった他のGIのときとは違う、独特の雰囲気に包まれます。それほど「特別なレース」なんです。
今年は、過去に悔しい思いをしたホースマンたちの「悲願」が達成されるのか、話題になっていますね。なかでも関心を集めているのは、蛯名正義騎手です。皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)を制して1番人気が予想されるイスラボニータ(牡3歳)で、初のダービー制覇なるか、注目されています。
蛯名騎手のダービー騎乗で印象に残っているレースと言えば、ハイアーゲーム(3番人気3着)の手綱をとった2004年。本命キングカメハメハに果敢に勝負を挑んだ競馬は見応えがありました。そして、忘れてはならないのが、フェノーメノ(5番人気)で挑んだ一昨年。勝ったディープブリランテに惜しくも及ばず、2着でした。
そんな悔しい思いを繰り返してきた蛯名騎手ですが、今年も大きなチャンスを迎えています。45歳という年齢を考えても、これほどの機会はもう数えるほどでしょう。それだけに、今度のダービーにかける思いは相当なものがあると思います。
フジキセキ産駒のGI実績が短距離に集中しているため、2400mという距離が不安視されているようですが、馬自体はしっかりと折り合えて、確実に終(いま)いの脚を使えるタイプ。巷で言われているほど、心配しなくていいと思います。
それよりも心配なのは、陣営にかかるプレッシャーです。ダービーを1番人気で迎えることは、騎手に限らず、携わる関係者みんなに尋常ではない重圧がかかります。勝敗のポイントは、そこにあると言っていいほど。関東の騎手で、関東の厩舎ですから、なんとかそのプレッシャーを打ち破って、がんばってほしいですね。
そんなイスラボニータのライバルとなるのは、まずは皐月賞2着のトゥザワールド(牡3歳)です。ダービーの舞台であれば、逆転のチャンスもあるかもしれません。
というのも、皐月賞は決して力負けではなく、一瞬の決め手の差だけだったと思うからです。4コーナーを回って、後ろから先に仕掛けたイスラボニータに対応して、トゥザワールドも追い出して瞬時に反応しましたが、最終的には1馬身4分の1という差がつきました。トゥザワールドも伸びているだけに、これは間違いなく決め手の差です。
しかし今回は、直線が長い東京コース。トゥザワールドの器用で、長くいい脚を使えるところは、大きな武器となります。イスラボニータを振り切って、トップでゴール板を通過してもおかしくないでしょう。
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