【競馬】凱旋門賞惜敗。オルフェ&キズナが痛感した「世界の壁」の正体 (3ページ目)

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

 スミヨン騎手は会見でこう振り返った。
「(斤量)5kgの差は大きかった」

 オルフェーヴルの59.5kgに対して、トレヴは54.5kgと確かに斤量の差は存在する。事実、3歳馬有利は凱旋門賞における定説だが、斤量の差があっても、それを生かし切れるかどうかは、その馬の持つ本質的な能力によるのではないだろうか。それを裏付けるように、スミヨン騎手は続けた。

「それでもトレヴが強かった」

 結局、今年は“世界”の驚異的な走りに凌駕されたに過ぎない。トップホースの能力自体に、世界と日本との差がないことは、この数年の内容からも証明されている。まして、今年の日本馬は2頭が挑戦して、2着、4着と好走した。

 池江調教師はふと、こんな言葉を漏らした。
「去年、勝てていれば……」

 昨年と今年、オルフェーヴルの異なる内容の2着に、“壁”を越えるために必要なものが見え隠れする。今年のトレヴと同じように、昨年のメンバーの中では間違いなくオルフェーヴルの力が抜けていた。だが、それだけ圧倒的な能力差を持ちながら勝つことができなかった。

 勝てるときに勝つ力――。これこそが、日本競馬の悲願に求められているものではないだろうか。その力を備えたとき、歴史の扉が開かれるに違いない

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