【競馬】ダービー馬ディープブリランテはこうして誕生した (2ページ目)

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • 写真提供:パカパカファーム

 そこで2004年、スウィーニィ氏は再びバブルカンパニーの血を持つ牝馬を、世界中から情報を集めて探し始めた。そして行き着いたのが、のちに日本ダービー(2011年)を制したディープブリランテの母となる、ラヴアンドバブルズだった。

「ラヴアンドバブルズがフランスの牧場にいると知って、すぐに現地に向かいました。実は彼女はバブルドリームの子で、パカパカファームに来る前にアメリカで産んでいた牝馬だったのです。とにかくこの一族の牝馬が欲しかったので、すぐに牧場の方と交渉しましたよ。簡単にOKを出してはくれませんでしたが、最終的には私の熱意が伝わったのか、ラヴアンドバブルズはパカパカファームで過ごす運びになりました」

 こうしてパカパカファームには、バブルカンパニーの血を引く繁殖牝馬が3頭導入されることになった。もちろんその3頭には、徹底的にサンデーサイレンス系の種牡馬が配合されていった。

「サンデーサイレンス自身は2002年に亡くなってしまったため、3頭に種付けすることは叶いませんでした。しかし、すでにサンデーサイレンスの子がたくさん種牡馬になっていましたから、それらの馬とかけ合わせていったんです。ダンスインザダークやスペシャルウィーク、アグネスタキオンなど、いろいろな馬を配合しましたね」

 サンデーサイレンス系種牡馬と配合された3頭の牝馬は、みな素質を感じさせる産駒を生んだという。その中でも、特にスウィーニィ氏が可能性を感じていたのが、ラヴアンドバブルズの産駒だった。

「パカパカファームに来てから生んだ最初の2頭、牝馬のラヴインザダークと牡馬のウインバロンドール(※父はどちらもダンスインザダーク)は、生まれたときから良い馬体の持ち主でした。実際、ラヴインザダークは強い勝ち方を見せたレースもありましたし、ウインバロンドールはケガさえなければ出世できたと思っています。この2頭に素質を感じたからこそ、『次はラヴアンドバブルズにディープインパクトを配合しよう』と考えました。ディープインパクトの種付け料は高かったですが、それ以上の期待を持っていましたから」

 2年連続でダンスインザダークを配合していたラヴアンドバブルズは、2007年にディープインパクトと種付けを行なう。なお、この年から種牡馬となったディープインパクトの種付け料は1200万円。その2年前に鳴り物入りで種牡馬となった日本ダービー馬、キングカメハメハの種付け料が600万円だったことを考えれば、初年度としては異例の金額だった。

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