【競馬】天皇賞・春の「一強馬」が勝つとき負けるとき

  • 河合力●文 text by Kawai Chikara
  • photo by Nikkan sports

前哨戦の阪神大賞典を快勝し、大一番に向けて万全の態勢にあるゴールドシップ。前哨戦の阪神大賞典を快勝し、大一番に向けて万全の態勢にあるゴールドシップ。 4月28日に行なわれる、天皇賞・春(京都・芝3200m)。今年は、戦前からゴールドシップの「一強」ムードが漂っているが、この本命馬には本当に死角はないのか? 過去、戦前に「一強」と称された天皇賞・春を振り返りながら、検証してみたい。

「一強」と聞いて、まず思い出すのは、昨年。前哨戦の阪神大賞典で、逸走しながらも2着に巻き返したオルフェーヴルだ。普通に走れば「敵なし」と、大一番では単勝1.3倍の圧倒的な1番人気に推された。しかし、結果は11着(同着)の大敗。レース後、敗因のひとつとして挙げられたのは、体調不良だった。逸走により課せられた調教再審査で、馬にストレスが溜まっていたとも言われた。

 対して、今年のゴールドシップは、極めて順調な調整。関西の競馬専門紙トラックマンはこう語る。

「昨年までのゴールドシップは、必ずしも調教で好時計を連発するイメージはありませんでした。しかしここ最近は、調教駆けするオープン馬のクリーンエコロジーを相手にあっさり先着。明らかに完成の域に近づいており、管理する須貝(尚介)調教師も相当自信を持っているようです」

 今年の大本命馬に関しては、体調面の不安を考える必要はなさそうだ。

 1991年と1994年の天皇賞・春も、一強ムードに包まれていた。中心にいたのは、1991年がメジロマックイーン、1994年がビワハヤヒデだった。どちらもスタートから好位置につけ、満を持して抜け出すレーススタイルが身上で、その"隙のなさ"が人気に拍車をかけた。そしてどちらも、期待にたがわぬ盤石のレース運びで勝利した。

 3200mの長距離戦。古馬一線級との力勝負となれば、こうした隙のないレース運びができるかどうかが、「一強馬」の勝利のポイントと言えそうだ。

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