【競馬】ダイヤモンドS、
注目は川島騎手とファタモルガーナの「名コンビ」 (2ページ目)
今回、手綱を取るアドマイヤラクティは、前走のAJCC(1月20日/中山・芝2200m)では多少反応の悪さを見せましたが、最後までしぶとく伸びてきて3着に入線しました。こういうタイプは、距離延長がプラスに働くと思います。鞍上の内田騎手も、前回が初騎乗で今回は2度目。馬のクセをつかんでいるでしょうから、間違いなく前走以上の走りが期待できます。
そしてこのレースの「ヒモ穴馬」に挙げたいのは、川島信二騎手が手綱をとるファタモルガーナ(せん5歳)です。
川島騎手というのは、栗東所属でデビュー13年目の中堅騎手ですが、ベリー騎手や内田騎手に比べると、乗るだけで人気になるようなジョッキーではありません。しかし、このファタモルガーナとのコンビ実績は、注目に値します。というのも、川島騎手はファタモルガーナの東京、中山遠征にとどまらず、昨夏は新潟のレースにまで乗りに来たからです。
新潟開催時、川島騎手の主戦場は札幌でした。夏の出張滞在競馬の場合、ジョッキーが主戦場を離れて他場に遠征することは、重賞レースに騎乗する以外は滅多にありません。にもかかわらず、川島騎手は1000万円下の条件戦に出走するファタモルガーナのために、わざわざ札幌から新潟まで遠征してきました。それに、同レースが行なわれたのは土曜日で、川島騎手はレース後、札幌にとんぼ帰りして翌日曜日には札幌の第1レースに騎乗していました。それほどの強行軍をこなしてでも、ファタモルガーナに乗りたかったわけです。そうした川島騎手の強烈なこだわりは、やはり見逃せません。
そのファタモルガーナですが、レースを見ていると、ちょっとクセのある、気性の悪い馬のように思えます。ただそうした気性も、同じ騎手がずっと手綱を取ることで、解消されることがあります。そうやって手がかかる分、川島騎手の思い入れはさらに深まっているのでしょう。
前走は、1600万円下の身ながら、格上挑戦で重賞のステイヤーズS(12月1日/中山・芝3600m)に挑みました。そこで、2着と好走。騎手と馬とのコミュニケーションは完璧でした。ファタモルガーナと川島騎手の間には強い絆が出来上がっているんだな、と思いましたね。
同レースで賞金を加算し、晴れてオープン馬となったファタモルガーナ。中山より直線の長い東京コースのほうがいいタイプで、ここは絶好のチャンスです。
ダイヤモンドSでは、騎手と馬との間に特別なモノを感じるこのコンビを応援したいと思います。
著者プロフィール
大西直宏 (おおにし・なおひろ)
1961年9月14日生まれ。東京都出身。1980年に騎手デビュー。1997年にはサニーブライアンで皐月賞と日本ダービーの二冠を達成した。2006年、騎手生活に幕を閉じ、現在は馬券を買う立場から「元騎手」として競馬を見て創造するターフ・メディア・クリエイターとして活躍中。育成牧場『N.Oレーシングステーブル』の代表も務め、クラシック好走馬を送り出した。
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