【競馬】有馬記念、一番人気のゴールドシップは本当に狙える馬か!? (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 有馬記念の舞台となる中山競馬場では1戦1勝。その1勝が2着に2馬身半差をつけて完勝した皐月賞だから、プラスこそあれ、コースがマイナス材料になることはない。2500mという距離も、3000mの菊花賞を勝っているから、別段問題はないだろう。

 そして特筆すべきは、菊花賞(10月21日)を勝ったあと、11月25日のジャパンカップ(JC)をパスして、有馬記念1本に絞ってきたローテーションだ。

 3歳の有力馬にとって、菊花賞の3000mという長距離を走ったあと、JCと有馬記念の2戦を古馬トップレベル相手に戦うというのは、いかにも厳しい。だが、JCをパスすれば、それだけ馬体の回復にも、有馬記念へ向けての調整にも余裕が持てる。昨年のオルフェーヴルがまさにそのローテーションで、着差以上の強さで2着以下を完封した。今年、同じローテーションで臨むゴールドシップにも、同様の結果が期待できるのだ。

 さらにこの馬には、目に見えない「いい風」が吹いていることも見逃せない。関西の競馬専門紙トラックマンが語る。

「ちょっと前の流行りで言えば、この馬は『持っている』馬です。一冠目の皐月賞は、4番人気と気楽な立場だったから、4コーナーから直線にかけて馬場の良い外目にみんなが出て行く中、1頭だけあえて荒れた内を突くという乗り方ができた。1番人気だったら、あんな芸当はできなかったと思う。二冠目の菊花賞も、ダービーで先着された4頭すべてが不在だった。勝ったディープブリランテは本番直前に故障し、2着のフェノーメノは天皇賞・秋に向かう路線を選んだ。他の2頭も故障で戦列を離れ、春当時より大幅に相手に恵まれました。今度の有馬記念にしても、出走していれば最大の強敵だったはずの、オルフェーヴルとジェンティルドンナが回避。本当に『持っている』馬という感じがします。有馬記念という大舞台では、こういう"運"も必要なんです」

 こうしてみると、ゴールドシップにはプラス材料ばかりだが、トラックマンの話の裏を返せば、この馬の正味の実力はいったいどれほどのものなのか、という疑問も浮かんでくる。実際、競馬関係者の中からは「特にこれといった不利もなく5着に負けたダービーが、この馬の本当の実力なのでは......」という辛辣な声まで聞こえてくる。

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