【競馬】朝日杯に挑むコディーノ筆頭に牡馬クラシック戦線の主役は「5強」 (2ページ目)

  • 新山藍朗●文 text by Niiyama Airo
  • photo by Nikkan sports

 コディーノに敗れはしたものの、札幌2歳S2着のラウンドワールド(父ディープインパクト)と、東スポ杯2着のレッドレイヴン(父スマートストライク)も有力な存在。特筆すべきは、ラウンドワールドの岩田康誠騎手、レッドレイヴンの内田博幸騎手と、毎年のようにリーディングトップを争う東西の名ジョッキーが、デビュー当初からそれぞれの愛馬の素質を高く評価しているという点だ。

 コディーノに敗れたレースにしても、両ジョッキーともに「力負け」とは思っていない。今後の伸びしろを考えれば、コディーノに追いつくことも、さらには逆転することも可能と見ている。どちらも非凡な末脚を秘めており、トップジョッキーふたりがここまで惚れ込むのだから、2頭ともクラシックを狙える器であることは間違いない。

 実績では前記3頭には及ばないまでも、高い評価を受けているのが、キズナ(父ディープインパクト)と、エピファネイア(父シンボリクリスエス)。両馬ともにデビュー前から期待されていた馬で、評判どおりの強さで新馬戦、続く2戦目と快勝した。まさにそこ、期待に応えて結果を出せること自体が強い馬である証拠。2頭とも持っている能力は相当高いレベルにあると見ていいだろう。

 関西の競馬専門紙トラックマンが語る。
「キズナは、よく尻っぱねをしたり、騎手が少しでも油断すると振り落とそうとしたり、気性的に危ないところがある。エピファネイアも、ちょっとかかり癖が出てきている。どちらもまだ、素質だけで走っているという印象は否めません。でも、それでいて結果を出すのだから、2頭ともものすごい馬になる可能性を秘めているということです。それぞれ主に精神面の課題をクリアしたら、間違いなく大きいところを狙えると思います」

 以上の5頭が、現時点での2歳牡馬戦線の上位を形勢する、いわば「5強」だ。そう称されるのは、この5頭が名牝の子であったり、兄姉や近親にGI馬かGI級の活躍馬がいたりする、いわゆる「良血馬」だからでもある。

 コディーノは、名牝シンコウラブリイの甥にあたり、母ハッピーパスも京都牝馬Sなど重賞勝ちのある馬。ラウンドワールドは、2006年の牡馬三冠レースで、皐月賞2着、ダービー3着、菊花賞2着と活躍したドリームパスポートの半弟。レッドレイヴンは、有馬記念を連覇するなど、現役時代は「怪物」と呼ばれたグラスワンダーの甥にあたる。そしてキズナは、桜花賞、秋華賞、それにエリザベス女王杯を勝ったファレノプシスの半弟で、エピファネイアは母が日米のオークスを勝った名牝・シーザリオの産駒だ。

 競馬は、強い馬と強い馬の戦いに胸躍るが、その強い馬が良血馬同士なら、一層胸躍る。それだけに、来年のクラシック戦線に向かう「5強」の戦いは、近年にないほど面白く、見応えのあるものになりそうな予感がする。

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