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【競馬】凱旋門賞制覇にも匹敵する、ロードカナロアの歴史的快挙

  • 土屋真光●文 text&photo by Tsuchiya Masamitsu

日本調教馬として初めて香港スプリントを制したロードカナロア。日本調教馬として初めて香港スプリントを制したロードカナロア。「この馬が通用しなければ、来年も再来年も、どんな日本のスプリンターが来ても勝つことは難しい。ロードカナロアでこのレースを勝ちに来て、この馬の強さを証明できた」(岩田康誠騎手)

 12月9日、香港シャティン競馬場で行なわれた香港国際競走のひとつである香港スプリント(GI/芝1200m)に、日本から遠征したロードカナロア(牡4歳、安田隆行厩舎)が出走し、日本調教馬として初めてこのレースを制した。香港の、まして短距離レースであることもあって、世間一般の反応はそれほど大きくないが、日本競馬の海外挑戦史において、この勝利は凱旋門賞の勝利に匹敵する出来事だ。

 毎年12月に開催される、香港国際競走デー(シャティン競馬場)。同日は、四大国際GIレースとして、香港スプリントをはじめ、香港マイル(1600m)、香港カップ(芝2000m)、香港ヴァーズ(2400m)が行なわれ、世界の強豪を招待して頂点が争われる。国際競馬シーンの1年を締めくくるものとして位置づけられており、2001年には香港スプリントを除く3競走を日本調教馬が制覇するという快挙も達成。この3競走でここまで日本調教馬は6勝を挙げている。

 一方で、香港スプリントだけはこれまで惨憺たる成績が続いてきた。

 1999年に香港スプリントとして創設されてから、日本調教馬は昨年までに延べ14頭が挑戦してきたが、最高着順は昨年のカレンチャンの5着。ビリーヴ、サニングデール、ローレルゲレイロなど、日本を代表するGI馬のトップスプリンターが挑んできたにもかかわらず、勝利はおろか、連対すらままならなかった。いつしか、日本調教馬にとって「鬼門」「凱旋門賞級に難しいレース」とも評されるようになっていた。

 その要因は、「短距離王国」と評されるほどの地元香港勢の強さにある。デビューから17連勝という近代競馬の無敗記録(当時)を打ち立てたサイレントウィットネスをはじめ、香港ではワールドクラスのスプリンターが多く輩出されてきた。2008年には主力2頭を欠いた状態でありながら、ワンツーフィニッシュを決めてしまったほど層が厚く、2010年には地元香港のGIではまったく歯が立たないレベルだったウルトラファンタジーが、日本のGIスプリンターズS(中山・芝1200m)を制してしまったほどだ。

 しかし、その強力香港馬の牙城を崩して、ロードカナロアがついに香港スプリントを制したのである。

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