渋野日向子の米ツアーでの可能性を村口史子プロが分析。「彼女の最大の武器が再び輝き出した」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 とりわけアプローチに関しては、高さを出す打ち方にもチャレンジ。そうした技術が求められていない状況でも、あえてその打ち方を試して、失敗するようなシーンが何度か見られました。

 また、パッティングに関しても、自信を失っている時期があったように思います。渋野選手らしい思いきりのよさが見られず、それがそのまま結果につながっている試合もありました。

 とはいえ、それもワンランクアップするための過程のひとつだったと言えます。

 プロゴルファーというのは誰もが、常に上を目指して、新たなことにチャレンジしていきます。そうすると、ひとつの課題をクリアすると、また次の課題が生まれる。それで、うまくいかなくて、自分のゴルフが崩れてしまうこともあります。でも、そういうことを繰り返しながら、少しずつ、一歩ずつ、上達していきます。

 そこでは、自分がどこを目指しているのか、しっかり把握しておくことが大事ですが、渋野選手はそれができる選手。今回のスイング改造においても強い意志を持っていて、自分が定めた目標に向かって突き進めるタイプ。そしてその成果の一端が、日本ツアーの終盤戦、今回の最終予選の結果に表われたと言えるのではないでしょうか。

 先にも触れたように、スイング改造が順調に進んでいるなか、10月にはスタンレーレディス、樋口久子 三菱電機レディスと2勝。いずれもプレーオフの末の勝利で、凡人とは異なる勝ち方でした。それには、いやはや「やっぱり"もっている"選手だなあ」という感想しか抱けませんでした。

 特に三菱電機レディスでは、2打差で迎えた最終ホールで奇跡的に追いついて、プレーオフ1ホール目のセカンドショットが圧巻でした。3Wを振り抜いて、ピン3mに寄せた一打は渋野選手の魅力が存分に詰まっていました。

 JLPGA2020-2021シーズンのメディア賞『ベストショット』部門に輝いた一打でしたが、どうしてあの位置にボールが止まったのか、なぜ"ここしかない"という真っ直ぐなラインにつけられたのか、プロが見ても不思議に思うショットでした。

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