渋野日向子は「根っからの勝負師」。村口史子が振り返る「奇跡の瞬間」 (5ページ目)

  • 柳川悠二●構成 text by Yanagawa Yuji
  • photo by Kyodo News

 そして一瞬、強いかなと思ったボールは、勢いよくカップイン。その瞬間は「えっ、勝っちゃったの!?」――私は、グリーンを取り囲んでいたギャラリーと同じように「やったぁ!」と喜んでいました。それからしばらくして、彼女の偉業達成に、心と体が震えました。

 メジャーの優勝争いという緊迫した状況のなかで、彼女はひとりだけニコニコして、ギャラリーまで惹きつけて、優勝を引き寄せた。もし私が同じ立場だったら、あんなに笑っていられないし、のどがカラカラに乾くような状況で、あんなにしょっぱいお菓子を食べることなんてできません(笑)。

 プレーに感心するだけでなく、大勢のギャラリーから祝福されている彼女の姿を眺めていたら、同じ日本人として、とても誇らしかったです。

村口史子(むらぐち・ふみこ)
1966年8月30日生まれ。東京都出身。1990年春にプロテストに合格。翌年、ツアー本格参戦1年目でツアー2勝を飾って、注目を集める。以降、シード選手として活躍し、1999年には年間3勝を挙げて、賞金女王に輝いた。2004年、シード権を得ながら、同シーズンを最後にツアーから電撃引退。現在は、トーナメントの解説、レッスン番組への出演など、さまざまな分野で活躍している。

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