【木村和久連載】名門倶楽部=高額。それだけの価値は本当にあるのか (4ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

●グリーンは日陰が増える
 あまりの名門コースでは、樹木が生えすぎて日陰が増えて、芝の育成が悪くなるという弊害が出ています。そこで、今の流れは開業当時の設計に戻す風潮で、バッサリ木を切って風通しをよくする――そっちのやり方に向かっています。

 そんななか、「名門」という名前に胡坐をかいているコースもチラホラ見受けられます。そのため、グリーン周りのラフでは芝付きが悪く、ベアグランドになっている箇所もあります。そういうのを見ると、がっかりですね......。

●ブラインドテスト
 テレビのバラエティー番組などで、1000円のワインと10万円のワインを使って、目隠しをして飲み比べるといった企画をやっているじゃないですか。

 それと同様のことをゴルフ場でやったら、どうなるか。たとえば、会員権価格2000万円の名門コースと、200万円ほどの中堅コースに目隠しをして連れていって、どっちが名門か? というクイズをやったら、正解率はかなり低くなりそうです。

 会員権価格200万円のコースだって、名匠・井上誠一設計の素晴らしいコースがありますから。私も正解できるかどうか、自信はないです。

 ゴルフコースってワインと似ていて、10倍の価格の差があるから10倍おいしいかっていうと、そうでもないですよね。1.2倍くらいはおいしいと思いますけど、そのほんのわずかの差に、10倍のお金を払うんですよ。だから、ゴルフは「道楽だ」と言いたいわけです。

 道楽から文化が生まれる考えは否定しません。そういう余裕のある方は、10万円の高級ワインを飲んで、会員権価格1000万円の名門コースで遊んでください。

 われわれ庶民は、安くて美味しい1000円のチリワインを飲んで、会員権価格100万円くらいで、ビジターも歓迎してくれるコースで遊ぶとしますかね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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