【木村和久連載】アマチュア競技の「ぼっち感、ヘボ感」で人生を知る (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

(1)ポジショニング
 まず、初対面の4人ひと組で競技開始。通常は競技委員の説明を聞き、誰が誰のマーカーになるかを確認し、軽く挨拶してラウンドスタートとなります。

 このとき、「よく(競技には)参加されるんですか?」とか、あまり話かけないのが昭和のゴルファーです。「男は黙ってサッポロビール」(古いなぁ......)のCMで育っているので、多くを語らず、黙々とプレーしていきます。

 その代わり、誰が一番うまいのかを見極め、ペースメーカーとして利用します。不思議なもので、うまそうに見える人って、たいがいシングルさんです。

 これは、丁寧な物腰、安定しているフォーム、決まっているルーティーンなどを見て判断します。かつ、1ホール目で打った球筋とアプローチでも、それはわかりますね。

 うまい人の何よりの証拠は、次のティーショットで先に打ちます。すなわち、オーナーです。さすれば、その人の狙ったところに狙って打てばいいのです。実際、打てるかどうかは、また別問題ですが......。

(2)マウンティング
 まんじりともしない試合展開となり......って、そりゃそうだ。5ホール目あたりでお茶屋さんにたどり着く頃、ボギーだらけのいつものゴルフをしている自分がそこにいます。大きな競技ですと、すでにこの時点で予選敗退は決まったようなものです。いまだパープレーか、1オーバーぐらいの人がこの扉の先に進めるのです。

 こうなってくると、もう諦めモードですから、うまい人を持ち上げてコミュニケーションを図るしか、楽しく回る方法はありません。

「お上手ですね。しかも、よく飛ぶし。どこかのクラブに所属されているのですか?」

 なんて、おべんちゃらをつい言ってしまうんですな。

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