どん底を見た女、比嘉真美子がツアーのトップレベルに復活できたわけ (2ページ目)

  • 金明昱●取材・文 text by Kim Myung-Wook
  • photo by Getty Images

 だが、比嘉は目の前の現実から逃げることはなかった。真っ暗なトンネルの中にあっても、微かな光を求めて、前を向いて戦い続けていた。当時、彼女はこう語っている。

「人は、ずっといいことばかりあるわけじゃない。悪い時期というのを、今こうして経験できていることがよかった、と思っています。家族やキャディー、トレーナーさんなど、多くの人が支えてくれていますし、悪い状況にあっても、多くのことが学べますから。そうした現状を打開していく過程において、いろいろな話をすることで、さらに学ぶ意欲が沸いてきています」

 そうして、翌2016年は序盤戦こそ、前年の不調を引きずって予選落ちを繰り返していたが、終盤戦からは徐々に調子を取り戻していった。優勝争いにも絡み出して、最終的には賞金ランキング34位とシード復帰を果たす。

 続く2017年シーズンには、NEC軽井沢72で4シーズンぶりの優勝を飾って完全に復調。賞金ランキングも、ルーキーイヤーの8位に次ぐ12位という好成績を収めた。

 迎えた今季、冒頭で記したとおり、一層の活躍を見せている。比嘉が言う。

「今年なんかはもう、何も心配していません。ツアー初参戦からまる5年のシーズンを過ごして、今年は6年目となりますが、初めてツアーを勝った年(2013年)よりも、どの年よりも、すごくいい感触で戦えています。

 しっかりとショットが打てているので、あとは自分に自信を持ったり、パターの技術をもっと上げたりして、プレーがかみ合えば、絶対にいいスコアが出ると思っています。チャンスが来るまで、じっと待つだけって感じですね」

 昨季、久しぶりの優勝となるツアー通算3勝目を挙げて以降、着実に自信を取り戻していることが、言葉の端々から伝わってくる。

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