【木村和久連載】ゴルフトーナメントとF1 GPに見るヒエラルキー (2ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

「これは、失礼いたしました。どうぞ、こちらへ」と言われ、ゲートのガードマンおよび関係者の方々が『モーゼの海割り』のように左右に分かれて、我々の車をうながしてくれました。

 しかも、駐車場はクラブハウスの目の前。いやぁ~、気分のいいこと。美人女子大生が、クラブのVIPルームにタダで通されているときの心のありようがわかったような気がしましたね。

ビッグイベントなどでは階級の高いパスの威力を思い知らされますね...ビッグイベントなどでは階級の高いパスの威力を思い知らされますね... 大きな試合やイベントは、付けている「タグ」の種類で入れる場所が制限されることがよくあります。

 その"タグ・ヒエラルキー"で一番すごいのが、やはりF1レースですよね。

 昔、1991年の鈴鹿で開催された日本グランプリを見に行きました。かなりいい席が取れて周りを見渡していると、開始30分前ぐらいに、グリッドのF1マシンのところに近寄り、ドライバーと馴れ馴れしく喋っているセレブ風のお姉ちゃんを見つけてびっくり仰天。あんなところ、メディアパスや普通のゲストパスを持っていてもなかなか入っていけないですよ。

 あと、そこにはメガネをかけたF1オタクみたいなのもいて、「きっとあれは、スーパーコネクションを使ったスポンサー枠なんだな」と、羨むことしきりでした。

 ちなみに、1991年の日本グランプリは、途中リタイヤが続出し、ゲルハルト・ベルガー(マクラーレン・ホンダ)が優勝。ちょっと地味な展開で終わりました。

 せっかくいい席を確保しながらも、セレブ風のお姉ちゃんや強力なコネを持ったF1オタクのように、ピットエリアに入ってF1レーサーと記念写真を撮れなかったことも心残りとなって、トボトボと鈴鹿サーキットを後にしました。

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