【木村和久連載】『みんゴル』で思い出した、巨匠ピート・ダイの秘話 (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 ピート・ダイ設計のコースは、日本に20箇所ほどあるのですが、そのなかでもメイプルポイントGCは、デザイン的にはノーマルなほうです。ピート・ダイ設計にしては、おとなしく見えます。周囲は山に囲まれていますが、コースはほぼ平らで、びっくら仰天です。

 それでも、実際にラウンドをすると、すべてのフェアウェーにアンジュレーションがあり、ティーショットでナイスショットをしても、2打目には多彩な打ち方が求められます。コースランキングなどの評価も高く、過去にはプロのトーナメントが開催されるなど、チャンピオンコースとして、その評価は定まっています。

 日本では、ピート・ダイ設計というと、バブルの象徴のようなイメージで捉えていたのですが、その認識も違ったようです。彼はこう語っていたそうです。

「バブルの象徴? 何を言っているんだ。こっちはお金がないから、材木を安く仕入れて、それをバンカー周りに配置して、コストを安くしたんだ。バブルなんて、無縁だよ」

 いやぁ、びっくりです。材木を並べたのは、予算がないからだったのかぁ~。てっきり、オサレにするための演出だと思っていたのですが......。

 そのバンカー周りに枕木や石を配置した"枕木デザイン"に関してですが、井上誠一は反対の立場を取っていました。それはなぜか?

「アンフェアになってしまうから」というのが答えのようです。

 たまたま石や枕木にボールが当たって跳ねると、予想外の方向にボールが飛んでしまうことが十分に考えられます。せっかくグリーン近辺までボールを運んできたのに、また変な方向にボールが飛んでいってしまうのが許せなかったようです。

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