松山英樹のゴルフのすべてを狂わせた、ひとつの歯車のわずかなズレ (2ページ目)

  • 三田村昌鳳●取材・文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 前半の9ホールを終えて、ひとつ沈めて「35」でプレーすると、後半のアーメンコーナー(11番~13番)での、バーディー攻勢への序章になる、というのが過去のデータで示されている。それは、松山も十分に承知しているのに、そのレール、波に乗れないのだ。

 さらに、10番パー4でやっとバーディーを奪ったが、"ここから手直ししていこう"という踏ん張りが、この日はすべて裏目となってしまった。

 後半は、とりわけアイアンショットの切れ味は鋭かった。でも、それがスコアに反映されないもどかしさが、積もり、積もっていく。その点については、松山も落胆の表情で語った。

「そうですね、それが(スコアに生かされて)続けばいいんですけどね」

 そんな中にあっても、圧巻だったのは、15番パー5のイーグルだった。見事な第2打を放って、2.5mにピタリ。それを、きっちり沈めた。

 ここで、スタート時点のスコア、通算2オーバーにようやく戻した。

 再び、誰もが明るい希望を抱いた。まだ優勝争いに加わるチャンスはある。上位が伸び悩んでいるからだ。なんとか、あとふたつバーディーをもぎとって通算イーブンに戻せば......と。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る