【木村和久連載】プロか、アマか、ゴルフ場はいったい誰のものか? (3ページ目)

  • 木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa
  • 服部元信●イラスト illustration by Hattori Motonobu

 一方、日本の場合はどうか。大改造してビッグトーナメントを開催したとしても、(練習ラウンドを含めて)使うのはトーナメント開催期間前後の1、2週間程度ですよね。残り50週か51週は、アマチュアに開放せざるを得ないわけで、たった52分の1のために“チャンピオンコース”を造るのはどうか、という考えがあります。

 トーナメントの開催はゴルフ場やコースのいい宣伝になりますが、ゴルフ場側にもチケットを割り当てられたりして、案外儲からないみたいですよ。しかも“チャンピオンコース”を使用する男子トーナメントの人気がイマイチです。だから今、本格的な“チャンピオンコース”を造る気運は盛り上がらない。その結果、強い選手が育たない、という悪循環に陥っているのです。

 確かに既成のコースで、井上誠一や上田治などの名匠が造ったコースを改造・改修して、“チャンピオンコース”にするという手もあります。しかし、古い名門コースはメンバーの意識が高く、「プロの試合に特別に貸してやる」という考えが主流です。

 実は、こんな逸話があります。

「なんで、プロの試合のために改造しなきゃならないの。うちはこのままで十分難しいから」と、お高くとまっていた某名門コースが、試しにメジャートーナメントを開催したそうです。そうしたら、トップに20アンダー以上を出されて大恥をかいて(要は簡単なコースだったということ)、「二度と試合には貸し出さない」と、捨て台詞を吐いたとか。そんな状況では、改造・改修はちょっと難しいですね……。

日本の名門コースは、プロツアー開催には意外と消極的なんだとか……日本の名門コースは、プロツアー開催には意外と消極的なんだとか……

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