日本女子ツアーを制圧。「強い」イ・ボミは、こうして生まれた (3ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

 そのうえで、清水キャディーは、「あの遠くの山の天辺にある、あの木を狙って」などと具体的な目標を設定し、「左のフェアウェーバンカーまでは240ヤード。今日はアゲインストだから、絶対に入らないから」と、伝える指示は必ず言い切ることで、イ・ボミが嫌なイメージを持つことなく、打ってもらうように心掛けたという。

 こうした“チーム・イ・ボミ”のバックアップを受けて、イ・ボミは今季、飛んで曲がらないティーショットを武器にして、ツアーを制圧した。

 改善されたのは、ティーショットだけではない。一緒にラウンドしている選手たちが口をそろえて絶賛したのが、パッティングだ。今季もイ・ボミと上位争いを演じることが多かった成田美寿々(23歳)は、「(今季の)ボミさんは、バーディーパットで(カップの前で)寸止め、みたいなミスがなくなりました」という。

 実際に今季、イ・ボミ自身が課題に挙げていた、4~5mぐらいのパットを入れる確率が高くなった。平均パット数も、堂々の1位(11月26日現在)である。パッティングの向上が、数々の勝利につながったことは明らかだ。清水キャディーが語る。

「昨年までは、ラインは読めているのに、タッチが合わない“オンラインショート”が多くて、それでバーディーを逃すことが多かった。そこで今年は、ミドルとロングパットの練習をトーナメント開催中にも入念にやって、“タッチ”を合わせることにかなり専念してもらいました。その結果、(今季は)カップ手前でショートすることが少なくなり、肝心なところでパットを決めることができていたと思います」

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