イ・ボミvsテレサ・ルー。選手たちが語る「女王争い」の行方 (3ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • photo by Getty Images

賞金ランク2位のテレサ・ルー。逆転女王の可能性はゼロではない。賞金ランク2位のテレサ・ルー。逆転女王の可能性はゼロではない。 ふたりの戦いをフラットな視線で外から観察している解説者の森口祐子プロも、やはりイ・ボミに分があると見ている。

「ゴルフの技術的な部分では、テレサ・ルーさんが今の日本ツアーではナンバー1だと思います。世界でもトップクラスであることは間違いありません。実は、予選落ちした日本女子オープンの際、彼女のラウンドに一日付いて見ていたんですね。その日は強風が吹き荒れて、多くの選手がその風に翻弄されていたんですが、そんな中で彼女は、何とか折り合いをつけようとするゴルフではなく、強風に対しても真っ向勝負を挑むようなゴルフをしていました。

 多彩なアプローチを見せて、特に強いスピンで止める球は圧巻でしたね。アイアンも切れていました。変なサイドスピンがかかるようなことはなく、ほとんどストレートで、上から落としてピンをダイレクトに狙える球筋でした。そうした技術を持っているからこそ、彼女は安易に“かわすゴルフ”をしない。それゆえ、『時に安定感を欠く』とまでは言いませんが、イ・ボミさんの安定度と比べると、そこには差があるように思います。

 翻(ひるがえ)って、イ・ボミさんは今季、昨年亡くなったお父さんとの約束を実現しようと、『賞金女王になる!』というモチベーションが高いですよね。ゴルフは技術力だけの勝負ではありませんから、そうした内に秘めた思いだったり、気持ちの強さだったり、精神的な部分が後押しする部分が必ずある。その点で、今季は総合力でイ・ボミさんが上回っていると思います」

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