全英OP攻略へ。松山英樹が密かに腕を磨くクラブ
第143回全英オープンが開幕する(現地7月17日~20日)。
今年の舞台は、2006年以来、8年ぶりの開催となるロイヤルリバプール(全長7312ヤード、パー72)。2006年大会より総距離が54ヤード延びて、いくつかのバンカーを撤去しつつも、グリーン周辺に新たなくぼみを設けるなどの改修が行なわれ、難易度は高まっている。
2006年大会では、4日間で1度しかドライバーを使わなかったタイガー・ウッズがメジャー通算11勝目を飾った。同大会の数カ月前に最愛の父親を亡くしたウッズ。その悲しみを乗り越えての感動的な優勝シーンが、まだ記憶に残っている人も多いのではないだろうか。
グリーン周りからアプローチ練習を入念にこなしていた松山英樹。photo by Getty Images そのウッズが今回、ついにメジャーの舞台に復活する。今年3月に腰の手術を受けて、その後、懸命なリハビリを経て戻ってきた"最強の男"。世界中が注目する中、どんなプレイを見せてくれるのか、必見だ。
また、2006年大会と言えば、日本の谷原秀人が躍進。5位タイという好結果を残して、地元ギャラリーから喝采を浴びた。そして今年、そんな活躍が期待される日本人一番手は、やはり松山英樹(22歳)である。
6月のザ・メモリアルトーナメントで米ツアー初優勝を果たして、イギリスでの注目度もアップ。練習日から早くも、多くの地元ギャラリーからサインを求められていた。その光景は、松山という存在が世界に認められた証のように見えた。
さて、昨年初めて挑んだ全英オープン(ミュアフィールド)で6位タイという好成績を収めた松山。今年のロイヤルリバプールの攻略についてはどう考えているのだろうか。彼は簡潔にこう語った。
「フェアウェーキープとバンカーに入れないこと」
米ツアーで日本人最高の3勝を挙げ、今大会のテレビ解説を務める丸山茂樹プロも、その点は同意。両サイドにラフが広がって、際どいところにポットバンカーが点在するリンクスコース攻略において、フェアウェーキープの重要性を強調した。が、「ティーショットをフェアウェーに打っていくことは、相当な集中力が必要となり、精神的にもかなり疲れると思う。(スコアメイクには)パー5がひとつのポイントになるけれども、そこでも簡単にドライバーを握れるホールはない」という。
そこで、松山が今大会の"新兵器"として持ち込んだのが、2番アイアン。ドライバーに代わって、ティーショットで確実にフェアウェーキープを実現するための武器である。
実際、練習ラウンドでも、松山がドライバーを手にしたのは3ホールのみ。距離のあるミドルホールやロングホールでも、ティーショットで2番アイアンを多く使用し、フェアウェーを外さないコース攻略の調整に務めていた。つまり、松山躍進のポイントのひとつは、2番アイアンの出来にかかっているとも言える。
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