タイガー・ウッズ不在のマスターズに見た「新時代到来の予感」 (3ページ目)

  • 三田村昌鳳●文 text by Mitamura Shoho
  • photo by Getty Images

 それだけではない。選手たちのゲーム運びも大いに乱れていた。まるでF1のポールポジションをとりにいくかのように、誰もが我先に、という攻めを見せた。普段なら最終日で見られる様相が、初日から始まっていた。

 本来であれば、ウッズの作る流れがゲームの軸線となって、他の選手たちにとっては、道標のような役割を果たしていた。とりわけマスターズでは、そうだった。しかしその流れが、今回は完全に崩壊していた。乱気流の中で、うまく流れをつかんだ選手が上位に名を連ねた。

 ベスト10以内の13選手の内訳を見てみると、過去のマスターズ優勝者はふたり(ワトソンとベルンハルト・ランガー)。スピースをはじめ、初出場選手のほうが3人と多かった。

 いよいよ世界のゴルフ界は、ウッズが基軸という流れから、ワトソンやアダム・スコットら30代半ばの世代と、スピースら勢いのある20代がけん引していく時代になっていきそうな雰囲気にある。スピースが語る。

「今回敗れたからといって、これでゴルフが終わったわけではない。どうやったら勝てるかを学んだから、むしろ始まりです。明日からが楽しみ」

 ジョーダン・スピースは、間違いなく新時代のスター候補である。石川遼や松山英樹にとっては、彼らが新たな“新基軸”になるのかもしれない。

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