2014.03.20

【ゴルフ】昨季未勝利の宮里藍が抱える「人生初の悩み」

  • 武川玲子●文 text by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 こうした状況を聞くと、どこか体の状態が悪いのではないか、という不安もよぎる。が、シンガポールでの戦いを終えたあと、日本に立ち寄ってしっかりと検査した結果、まったく異常はなかったという。

「(体調は)もう大丈夫です。悪いところが、何もなくてよかった。今週からがんばっていきます」

 ただ、もうひとつ気になることがある。パッティングだ。昨秋から不振に陥っていて、宮里自身、「こんなに悩んだのは、人生初」というほど深刻な状態にある。

 原因は、8年ぶりにパターを変えたことだった。それをきっかけにして、パッティングのフィーリングを失ってしまった。すぐにもとのパターに戻したが、一度ついてしまった”悪い感触”は容易に取り除くことができなかった。

 もちろん、オフの間にはその修正に取り組んだ。そこで、技術的にはどこに問題があるのか、はっきりした。切り返しの動作が速くなって、ボールを少し押し出してしまう癖がついてしまったようだ。そして、その問題はすでに改善の兆しにあって、練習グリーンではスムーズにパッティングできるという。あとは、実戦の中でどれだけできるかどうか、だ。

「だから、シンガポール(の試合)では棄権したくなかった。今トライしていることを、どうしても試合の中で試してみたかった。一打でも多く、実戦で、試合で打っておきたかったんです」

 重大かつ深刻な内容にもかかわらず、宮里は時折笑顔を浮かべながら、現状を語った。

 かつて、ドライバーでスランプに陥って、どん底を味わったことがある。しかし宮里は、そこから自力で這い上がって立ち直った。その後、世界の頂点にも立った。そうした経験と自負があるからこそ、冷静に対処できているのだろう。

 加えて、「今、やるべきことはわかっている」と話す彼女の瞳からは、確固たる決意が感じられた。少し時間は必要かもしれないが、”強い宮里藍”が戻ってくる日は、決して遠くはないはずだ。「まずは、1勝。昨年勝てなかったので、とにかく1勝したい」という目標も、宮里の堂々たる振る舞いを見ていれば、十分達成されるように思えた。