【ゴルフ】残り2戦。賞金女王を争う横峯さくらと森田理香子の「胸中」 (2ページ目)

  • 古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 一方、先日の伊藤園レディス(11月15日~17日)で、今季4勝目を挙げた横峯が、ついに森田をとらえて、賞金女王レースのトップに立った。5月のサイバーエージェントレディスでおよそ2年ぶりの優勝を飾り、本来の強さが戻ってきた。

今季、4勝目を飾って賞金ランクトップに立った横峯さくら。今季、4勝目を飾って賞金ランクトップに立った横峯さくら。 横峯の好調ぶりについて、森口プロはこう語る。
「パッティングが良くなりました。昨年までは、悪いとき、フォローでフェースが跳ね上がり、(インパクトで)こすって右へプッシュするような球が出ていた。それが今年は、(パットの)トゥとヒールの出方がスクェアに出ています」

 もうひとつの要因は、8月からついているメンタルトレーナーの森川陽太郎氏のトレーニング法が横峯の性格と合っていたからだという。

「これまでのメンタルトレーニングと言えば、マイナス的なことは口にせず、常にポジティブに物事を考えるというやり方が多かったのですが、自分を追いつめることで上に登ってきた横峯さんには、そのような方法は合わないと思っていました。でも、今のトレーナーのやり方は、今ある自分と向き合い、自分に過度な期待をせずに、自分に合った目標設定をするということでした。これは、横峯さんに合っていると思いましたね。自分は今の自分でいいんだと思うことで、気持ちが開放されたんだと思います」(森口プロ)

 2008年、横峯はわずか数十センチのパットを外して優勝を逃したことがある。その後彼女は、森口が言うように愚直に「ヘッドアップをしないように」と自分に言い聞かせ、苦手なパッティングを克服しようとしてきた。さらに2009年、初の賞金女王となったものの、「メンタルの弱さ」は常に指摘され、自分自身もそれを認めていた。そして今年、今の自分と向き合うことで、気持ちの弱さに打ち勝とうとしている。

 たとえ、どんなに優れたコーチがいても、パットの際に上がる頭を抑えたり、自分の弱さを認めてそこから這い上がったりするのは、最後は自分の力である。今の横峯の強さは、そうやって自分自身で作ってきたものだ。4年も5年も苦しんでたどり着いた境地なのである。

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