【ゴルフ】外国人記者が綴る「松山英樹は『お山の大将』ではない」 (4ページ目)

  • アンドリュー・ボス●文 text by Andrew Both 武川玲子●翻訳 translation by Takekawa Reiko
  • photo by Getty Images

 日本の選手からは、いまだ男子レギュラーツアーのメジャーチャンピオンは誕生していない。おそらく松山が目指すのもそこだろう。客観的に見ても、石川にもその可能性はあるだろうが、フィジカル、技術、精神力、そして今季の結果を考えれば、松山のほうが現実味はある。

 かつてジャンボ尾崎は、アメリカで「お山の大将」と呼ばれていた。そして、その山はまったく大きくなかったにもかかわらず、ジャンボはそれ以上大きな山を登ろうとしなかった。しかし、松山はジャンボとは違う。日本に止まらず、世界のゴルフ界で最も高い山を目指そうという、強い意志がある。

 少なくとも、その基盤作りはここまでうまくいっている。もちろん、世界最高峰の頂上にたどり着くには、その道のりはまだ長く、険しい。そこには、ゴルフ人生を狂わすような、予想もしない断崖絶壁やクレバス(氷河や雪渓などに形成された深い割れ目)が待ち受けているかもしれないが、これまでの日本の選手にはなかった、頂上に立つための“準備”が、松山にはできている。

アンドリュー・ボス
オーストラリア出身。フリーランスの在米ゴルフジャーナリスト。1990年~2011年まで、オーストラリアの通信社「オーストラリアAP」のアメリカゴルフ担当として奔走。現在は、イギリスの通信社「ロイター」で主に執筆している。

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る