【ゴルフ】今年の全英リコー女子オープンが、
宮里藍にとって「特別」なワケ
女子海外メジャーの第4弾、第37回全英リコー女子オープンが、現地時間8月1日(~4日まで)に開幕する。
今年の開催コースは、スコットランドのセントアンドリュース・オールドコース(全長6672ヤード、パー72)。自然のあるがまま、「神と自然が創りたもうたコース」とうたわれ、ゴルフ発祥の地として知られる。世界中のゴルファーに敬われ、誰もが憧れる舞台である。
6年ぶりに開催されるセントアンドリュースで精力的に練習ラウンドを消化する宮里藍。photo by Getty Images 男子の全英オープンは、大会最多となる28度も行なわれ、数々の名勝負が繰り広げられてきた。全英女子オープンは、2007年以来、今回で2度目の開催となるが、この舞台に特別な思いを抱いて、今大会に臨む日本人選手がいる。宮里藍である。
「(2007年の全英女子オープン以来)6年間、いろいろなことがありました。でも、その間は(自分自身)すごくいい時間の積み重ねができたんじゃないかなと思っています。そういう意味では、(セントアンドリュースに対して)どちらかというと感謝の気持ちのほうが強いですね。(プロゴルファーとして)ここに戻ってこられたことに、感謝しています」
6年前、史上初めて女子の大会が開催されたセントアンドリュース。宮里藍にとっても憧れの舞台で、初めて挑むコースに胸躍らせていた。だが、彼女には悪夢の舞台となる。
最終日、ティーショットがホテル越えとなる、名物ホールの17番でのことだった。宮里藍が放ったドライバーのティーショットは、大きく右に曲がり、ホテルの屋根に当たってOBとなった。
「思い切り振ったドライバーのショットがホテルの屋根に当たったときの、あの音は、今思えば何かの合図だったのかもしれません」
それでも宮里藍は、「当たりは悪くない」と気持ちを切り替えてティーショットを打ち直したが、同じドライバーで放たれたボールは、またしてもホテルに消えた。まさかの連続OBだった。
「"あなたのドライバー、おかしいんじゃない?"とゴルフの神様が警報を鳴らしてくれていたのに、私はそれに気がつかなかった......」
"神様のサイン"を見逃した宮里藍は、このホールで屈辱の『9』を叩いて大会を終えたが、そこからが本当の悪夢の始まりだった。
この大会後、宮里藍は1試合の棄権をはさんで4試合連続の予選落ちを喫した。ドライバーで放たれる球は"あのとき"と同じように、右へ右へと飛んでいった。宮里藍は、人生初めてのスランプに陥ったのだ。
「もう打てない......。ゴルフを辞めなきゃいけないのではないか......」
宮里藍は自問自答し、涙を流し続けたという。
しかし、彼女に救いの手を差し伸べてくれる人たちがいた。ピア・ニールソンとリン・マリオットのふたりである。宮里藍のゴルフ人生を変えることになる『ビジョン54』の指導者だ。彼女たちとの運命の出会いは、まさにこのときだった。
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