【男子ゴルフ】全米オープン予選落ちで、クローズアップされなかった石川遼の「変化」 (2ページ目)

  • 武川玲子●協力 cooperation by Takekawa Reiko text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 また、米ツアーの試合を消化するごとに、石川は世界で戦ううえでの自らの立ち居地というものを認識し始めていた。極端な飛距離へのこだわりはなくなり、あくまでも自分が"勝つため"には何が必要なのか、それを追求する姿が垣間見られるようになっていた。

「一緒に回るダスティン・ジョンソンもリッキー・ファウラーも、実力が(自分より)かなり上なのはわかっています。だから、ふたりの技術でこのコースをどう攻略していくかは気になりますし、彼らがどう攻めるかは見てみたい。でも、自分は今の自分ができる技術の範囲内でやっていく。ゴルフは結局、飛距離だけじゃない。いろいろあると思う。(9位タイだった)ザ・メモリアルトーナメントでも、一緒に回ったヘンリック・ステンソン(46位タイ)は、自分がドライバーで打ったのと同じくらいの距離を3番ウッドで飛ばしていた。当然、それは有利だとは思うけれども、肝心なのは、そのあとのプレイ。つまり、1打、1ホールで結果が出るのはなく、結局18ホールを回り終わったあとの結果が大事だと思うので、落ち着いて、広い視野を持ってやりたい」

 加えて、コースマネジメント力も増しているようだ。

「今までは、ドライバーもアイアンもすべてストレートで打つ練習をしてきました。だけど、メジャー大会や米ツアーで戦っていると、それ一辺倒では通用しないことを改めて知りました。ドローやフェードなど、そういう球を操る技術はこれから身につけることになりますが、ここではこういう球が必要だな、こういう球筋で攻めたほうがいいな、ということを自分自身でわかるようになってきました。昨年も一昨年も、そんな場面があったと思うけど、自分の持っている技術だけでやろうとして、何も見えなかったし、何も感じなかった」

 全米オープンはあと一歩及ばなかった石川だが、米ツアーで吸収してきたものは計り知れない。他にも「練習ラウンドは練習ラウンドと割り切って、木曜日(試合初日)にピークを持ってくるコンディション調整ができるようになってきた」という。もちろん、まだまだ技術不足や課題はあるだろうが、メジャーでも優勝争いできる日は一歩一歩近づいている。

「メジャーで結果を出せなかったのは悔しいですけど、まだ次のメジャーもある。それに、今回の米ツアー遠征の最後の試合(トラベラーズ選手権/6月21日~24日)が来週あるので、そこに向けて改めていい状態に持っていきたい。そこでいいプレイをして日本に帰りたいと思います」

 次なるメジャーは、7月の全英オープン。その舞台で、今回の経験が間違いなく生かされるはずだ。


第67回全米女子オープンゴルフ
7月6日(金)~7月9日(月)
第141回全英オープンゴルフ
7月19日(木)~7月22日(日)
テレビ朝日系列にて放送

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