【女子ゴルフ】斉藤愛璃「優勝した時は『自分ってすごい!』と思ったけど...」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 小内慎司●撮影 photo by Kouchi Shinji

 だが、自身初のメジャーを前にした斉藤に、当時のような焦燥はなかった。

「そこまで調子がいいわけではないし、経験を積めば積むほどそんなに簡単じゃないということがわかった。勝った時は、『自分ってすごい!』と思ったけど、予選落ちが続いたことで、『自分はまだこんなもんなんだ』と思い直しました(笑)。今はまず予選通過を目指して、一歩一歩良くなればいいなと、気楽な気持ちで臨むようにしています。プロテストに合格できなかった時期のほうがよっぽど精神的にきつかった。焦りはありません! 結果も大事だけど、自分が課題としていることをクリアできたかどうかを気にしています。練習だとうまく打てても、試合ではどうしても力んでしまう。練習と試合の感覚を一緒にすることが現在の課題ですね」

 優勝して名を上げたことによって、斉藤は他の"新人"選手と違ってこの日のようにプロアマトーナメントにも出場する。プロアマに出場すれば、その分、練習量が削られるが、悪いことばかりではない。注目選手は、初日から実力者とのペアリングを組まれることが多い。

「いろんな実力のある選手とまわって、自分と何が違うのかを勉強できていますね。特に横峯さくら選手は、ゴルフを簡単にやっているような印象を受けましたね。たとえショットを曲げたとしても、その曲がる方向がいつも同じなんです。私の場合は右にも左にもミスしてしまう。それだとラウンド中の修正も難しいと思います」

 22歳という斉藤の世代は、いわば女子ゴルフ界の"ゴールデンエイジ"だ。2010年に日本女子オープンを制した宮里美香をはじめ、森田理香子や金田久美子らが名を連ねる。

 開幕戦のあと、そういう面々に「少しは追いつけたかな」と気丈に話していた斉藤が、その後、改めて彼女たちとの距離を痛感したはずだ。

「まずはシード権を目指したい。2勝目というのは......優勝争いをする実力がついてきたと自覚できたら、意識したい」

 謙虚な言葉と、愛らしい笑顔を残して、斉藤は練習場に戻っていった。

  斉藤愛璃(さいとう・あいり)
1989年12月6日生まれ。神奈川県出身。2011年にプロテストに合格。同年末のQT(クォリファイングトーナメント)で31位となり、今季からツアーに本格参戦。開幕戦のダイキンオーキッドレディスで優勝し、ニューヒロインとして一躍脚光を浴びる。5月14日現在、賞金ランク14位。身長165cm。血液型B。オフィシャル応援サイトはこちら>>

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