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バルセロナを復活させたフリック流「妥協しない」マネジメント たった2分の遅刻も許さない (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【主力選手でも容赦しない】

 バルサはハイリスクな戦いと引き換えに、超攻撃的な戦いで相手を圧倒している。そのプレーは華々しくスペクタクルだが、少しでも腰が引けて集中を欠けば、雪崩を打つ。規律なしにはチームとしてスペクタクルを生み出すことはできない。ボールを運び、スペースをつくったら使い、相手にボールが渡ったら切り替える。その連続性を実現するには、全員が規律を守る必要があるのだ。

 それもあって、フリックは時間にことのほか厳しい。ラフィーニャ、ジュール・クンデのような主力に対しても、遅刻を罰してきた。誰に対しても例外はない。

 2024-25シーズン、フリックはスペイン人GKイニャキ・ペーニャに対して容赦がなかった。GKにケガ人が出て、ペーニャに頼らざるを得ない状況でも、遅刻を繰り返すペーニャを"切り捨てた"。クラブと協議し、すでに引退していたヴォイチェフ・シュチェスニーを呼んで現役復帰させ、ペーニャとポジションを競わせたのである。

 シュチェスニーは実戦のブランクがあったが、フリックは試合で使い続けた。コンディションよりも選手としての行動規範を重んじたのである。やがてシュチェスニーは試合勘を取り戻し、勝利に貢献。ペーニャは先発メンバーから外され、移籍することになった。

「プロとして遅刻は論外」というのがフリックのマネジメントと言える。勝負において、それは惰弱さにつながる。その甘えが他の選手に伝播すると、チームは崩れていく。それこそ、リーダーが絶対に避けるべきことなのだ。

ハンジ・フリック
1965年、ドイツ・ハイデルベルク生まれ。現役時代はMFとしてバイエルン、ケルンなどでプレーした。地元のクラブ、ヴィクトリア・バンメンタールの選手兼監督で指導者としてのキャリアをスタート。ザルツブルク、ドイツ代表、バイエルンのアシスタントコーチを経て、2019年、バイエルンの監督に就任。その後、2021年からドイツ代表、2024年からバルセロナを率いる。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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