バルセロナを復活させたフリック流「妥協しない」マネジメント たった2分の遅刻も許さない (2ページ目)
【遅刻は甘えの象徴】
周りには「遅刻といってもたかが2、3分」「CLで大活躍した選手だ」「大金で獲得した選手だぞ」と、ラッシュフォードを擁護する声も少なくなかったが、フリックにとっては情状酌量の余地はなかったようだ。「有力選手だったら遅刻も許される」となったら、規律は保てないからだ。野放しにすることは、結果的にチームを壊滅にすら追い込む可能性がある。
〈時間を守ることができなければ、ピッチ上でも約束事を守れない〉
それは真理で、一事が万事と言える。
ユース年代を過ごしたマンチェスター・ユナイテッドで、ラッシュフォードは常にスター選手として扱われてきた。10代でトップデビューを飾り、アーセナルやマンチェスター・シティという強豪相手にも得点を記録。2019-20シーズンはプレミアリーグで17得点を挙げて周囲の期待は高まり、「将来的にはバロンドールも狙えるタレント」と言われた。
同情すべきケガもあったが、精神的には不安定だったという。寝坊で遅刻するなどの悪癖があり、プロ精神の欠如を指摘されてきた。結果、調子の波が激しく、期待されていた選手にはなっていない。「マーカスがプレーしやすいような戦い方を」と表現する監督もいて、甘えを助長した。遅刻は象徴だった。
ラッシュフォードが"特級"のプレーヤーであることは間違いない。何でもないクロスをスタンディングで体幹と首の強さだけで逆サイドに放り込む。ミドルレンジからひとりかわしてコースを作ると、右足インステップでボールを叩き、弾丸のような一撃を飛ばす。異質なタレントであることは歴然だ。
しかし、チームプレーヤーには守るべきモラルがある。ピッチで主役になるには、自分を律してプレーに集中し続ける人間性が求められる。たとえばクリスティアーノ・ロナウドは周りが引くほどのエゴイストだが、それだけ厳しく自らも律している。トッププレーヤーは自らを縛れるメンタルを持っているのだ。
やはり、遅刻は甘えと言えるだろう。
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