【ワールドカップ】サッカー日本代表はぬるま湯? 世界では勝てなかった代表監督が次々と去っていった (4ページ目)
【ナーゲルスマン、アギーレ、クーマン...】
「代表監督を取り巻く環境は、もう以前とは違う」
大会中、デシャンがそう漏らしたことがある。試合のたびに評価は揺れ動く。勝てば称賛されるが、その賞味期限は驚くほど短い。一度敗れれば、積み重ねてきた実績さえ否定される。世界王者になった監督ですら、その例外ではない。
イングランドとの3位決定戦で、試合終了の笛が鳴ると、デシャンは選手たちひとりひとりを抱き寄せた。誰よりも冷静で、誰よりも穏やかだった。その姿は、勝者のようにも見えた。いや、14年間という長い旅路を、自分の意思で終えることができた男の姿だった。終わり方を選べることは、名将だけに許された最後の特権なのかもしれない。
その一方で、自分で「終わり」を決められなかった監督もいた。ユリアン・ナーゲルスマン。ドイツが誇る若き戦術家である。ドイツ代表はまさかの決勝トーナメント1回戦敗退。ナーゲルスマンは責任から逃げなかった。
「このチームを立て直したい」
そう語り、続投への意欲を示した。しかし、代表監督の未来は、必ずしも本人が決められるものではない。ドイツサッカー連盟は、静かに次の時代へ舵を切った。その中心にいるのがユルゲン・クロップだった。
ナーゲルスマンに告げられたのは、「尊厳ある退任」という選択肢だった。耳障りのいい言葉である。だが、その意味はひとつしかなかった。次の監督はもう決まっているということだ。ドイツは未来を選んだ。そしてナーゲルスマンは、その未来のために身を引いた。代表監督とは、時に「次の時代」のために去らなければならない仕事でもある。
メキシコのハビエル・アギーレの場合は、少し違う終わり方だった。自国開催の大会で、国中の期待を背負い、代表監督として3度目のワールドカップに臨んだ。契約は今大会終了までと、最初から決まっていた。だから決勝トーナメントでイングランドに敗れたあと、彼の口から「退任」の言葉が出ても驚く者はいなかった。それでも、その表情には悔しさがにじんでいた。ホームで迎えるワールドカップは、監督なら誰もが夢見る舞台である。その夢を最後まで見届けることができなかったからだろう。
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