プレミアリーグの猛者のなかで悠々とプレーする華奢な仙人 ベルナルド・シウバが現代サッカーで示す大切なもの (2ページ目)
【技術と頭脳の重要性を体現する存在】
ロドリ、ベルナルド・シウバはボールを持てばまず失わない。もともとMFをDFラインに下げるのは位置的変化による優位性を得るためだが、ロドリとベルナルド・シウバによって質的優位も確保できるわけだ。
パリ・サンジェルマンのヴィティーニャが、いつでもどこでもボールを受けて失わない優位性を生かしてマンマークのハイプレスを無効化しているが、シティはそれをロドリ、ベルナルド・シウバのふたりにした。これによってCBのグエイ、フサノフのプレッシャーも軽減される。サイドでパスを受けた際にプレスされても、ロドリやベルナルド・シウバに下げればいいだけ。
マンツーマンでプレスしようとしていたアーセナルだが、ロドリとベルナルド・シウバを捕まえることができず、選手間の距離が開いてプレス強度が拡散してしまっていた。
この循環式ビルドアップにおいて、ロドリとは時間差で最後尾に下りてくるベルナルド・シウバは、ボールを前進させたあとは再び前線のサポートへ動く。尋常ではない運動量なのに、最後までフィールドに残っていた。
ベルナルド・シウバが今季限りでの退団を発表したのは、アーセナル戦の直前だった。
ベンフィカからモナコを経てシティに移籍してきたのが2017年。以来、プレミアリーグ優勝6回、FAカップ優勝2回、EFLカップ優勝5回、チャンピオンズリーグ優勝も経験した。今季はキャプテンを務め、ジョゼップ・グアルディオラ監督から全幅の信頼を置かれている。
ウイング、センターフォワード、インサイドハーフ、ボランチとDF以外のあらゆるポジションでプレーしてきた。ボールを隠しながらクルクルと回るドリブルは奪い取るのがほぼ不可能。左足から繰り出すパス、シュートの精度は抜群。さらに疲れ知らずの運動量と献身性、アーリング・ハーランドが「最も賢い選手」と評したようにインテリジェンスの塊。ビルドアップの過程での一時的とはいえ、ついにCBでもプレーするようになった。
屈強なフィジカルエリートが集結しているプレミアリーグのなかで、173センチ65キロのベルナルド・シウバは場違いに思えるくらいだが、大きなケガもせずほとんどの試合にプレーし続けてきた。まともに当たられないからだ。フィジカル要素がどんどん肥大していく現代サッカーでも、依然として技術と頭脳の重要性を体現する存在と言える。
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