進化のバルセロナvs変化のレアル・マドリード ラ・リーガ新シーズンを人気解説&実況コンビが展望 (4ページ目)
【規則性のなかに不規則は組み込めるのか】
林 あとはDFラインにディーン・ハイセンが移籍してきました。すぐにフィットして中心選手になりそうです。
倉敷 彼のよさってどんなところですか?
林 やはりビルドアップの能力ですよね。左右両足であそこまで運べる選手っていないですし、フィードもいい。サイズがあって守備もある程度しっかりできるという。
倉敷 3バックで考えると、誰になります? アントニオ・リュディガー、エデル・ミリトン......。
林 それとハイセンじゃないですかね。あとはオーレリアン・チュアメニをどこに置くかなんですよね。3バックの真ん中でプレーできるので。攻撃になったらチュアメニを1列前に上げちゃえば、4-3-3みたいにできるし、守備時にちょっと耐える時にはそのままチュアメニをDFラインに吸収させて5枚で守るなど。
倉敷 シャビ・アロンソ監督が面白いなと思うのは、もう自分自身が本当に超一流の選手で、いろんな名監督のもとで大事にされてきた選手だった。それがマドリーに戻ってきたということですね。だから、マドリーの中がもうどれだけ面倒くさいかということを、彼はわかってるわけですよ。
このクラブにいるってことは、もう優勝しなかったらファンから「出て行け!」って言われる。「1年目? 関係ないでしょう」って言われるようなプライドの高いクラブに入ったわけですよね。
林 シャビ・アロンソ監督は基本的にスリーバックベースにしながら、選手の立ち位置を状況に応じて変えられる。シーズン通してベースができて、また違うBプランができたら、なんかAとBが混ざりながらプレーするような感じもありました。
でもマドリーって、やっぱり昔から戦術がないのがマドリーって言われてきて......。
倉敷 だから今年どうなるのかなんですよ。シャビ・アロンソ監督になると、それこそ林さんが「こうですね」って目に見える形で解説してくれるようなパターンを作るのかどうかって興味あります。
林 再現性を作れる監督ですし、規則性は出てくるんですよ。だけど、マドリーってずっと不規則で勝ってきた部分があるんですね。その不規則が消えちゃったらマドリーじゃないとなれば、その規則の中に不規則をどう組み込むかもすごく注目している部分です。
倉敷 そこって何なんですかね? つまり、遊び心から生まれるものなのか、遊び心を許す環境から生まれるものなのか。「インスピレーション」って、言い換えればわがままだと思うし、それをどこまで許容するか。
林 ベースは間違いなく作れると思うので、そのベースの中にさらに不規則の遊び心みたいなところが出てくると、マドリーは今年すごい楽しみだなってなりますよ。
著者プロフィール
林 陵平 (はやし・りょうへい)
1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。
倉敷保雄 (くらしき・やすお)
1961年大阪府生まれ。ラジオ福島アナウンサー兼プロデューサー、文化放送記者を経てフリーアナウンサーに。J SPORTSの人気サッカー情報番組『Foot!』のMCを長年務めたほか、Jリーグから欧州各国リーグ、欧州CL、南米まで、手がける実況は広範にわたる。2002年日韓ワールドカップでは日本代表の初勝利のゲームを始め、決勝戦などを担当した(スカパー!)。豊富な知識に裏づけされた的確な実況と遊び心のあるコメントで、コアなサッカーファンから初心者まで支持は厚い。愛称は、ブラジルで「名手」を意味する「クラッキ」と名字の「倉敷」をかけたクラッキー。
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