欧州サッカー開幕 フランス史上初の3冠&クラブW杯準優勝のパリ・サンジェルマンに死角はあるのか (2ページ目)
かつてのバルセロナを彷彿とさせる中盤
ニュージャージーで行なわれたチェルシーとの一戦では、左サイドを重点的に狙われ、前半のうちに3失点。相手の右ウイング、コール・パーマーの出来が抜群だったこともあるが、左サイドバックのヌーノ・メンデスはロングフィードにうまく対処できず、左ウイングのフビツァ・クバラツヘリアは後方の守備が疎かになりがちだ。またこの日の左CBは、サスペンションで出場停止だったウィリアム・パチョの代役のルーカス・ベラルドで、レギュラーとの大きな差を露呈した。
守備陣をピンポイントで補強した一方、放出した選手もほとんどおらず(昨季フェネルバフチェにローンに出ていたDFミラン・シュクリニアルが同クラブと正式契約へ)、欧州フットボールシーズンの幕開けとなるUEFAスーパーカップでも、昨季の主力が先発メンバーに名を連ねそうだ。
今のPSGのスタメンを構成する選手たちは、2022年夏に就任したポルトガル人スポーツディレクター(SD)、ルイス・カンポスが綿密な計画のもとに引き抜いた面々が主体となっている。それはクラブの長期計画の一環で、若手の才能を見抜く慧眼の持ち主を招き、それまでのスーパースターに頼った方針からの転換を図った。翌年にはルイス・エンリケ監督を招聘し、そのオフにリオネル・メッシとネイマールを、次の夏にキリアン・エンバペを放出。逆にクラブの象徴となれるポテンシャルを持つ若いフランス人選手を中心に、士気の高い逸材を次々に加え、本当の意味での"トップレベルのチーム"を築いていったのだ。
現在、カンポスSD就任以前に加入したレギュラーは、GKジャンルイジ・ドンナルンマ、CBマルキーニョス、右サイドバックのアシュラフ・ハキミくらい。前線には左から24歳のジョージア代表クバラツヘリア、中央に28歳のフランス代表ウスマヌ・デンベレ、右に20歳のデジレ・ドゥエか22歳のフランス代表ブラッドリー・バルコラが並ぶ。いずれもスピードとスキルを高次元に備え、守備時にはハイプレス、攻撃時にはドリブルやランで相手の急所を突く。
中盤はSDと同胞のふたり、25歳のポルトガル代表ヴィティーニャと20歳の同代表ジョアオ・ネベスに、29歳のスペイン代表ファビアン・ルイスを加えた陣容となる。テクニックとスタミナに長じるこの3人は、かつてルイス・エンリケ監督が率いたバルセロナのシャビ、イバン・ラキティッチ、セルヒオ・ブスケツの中盤を想起させるリズミカルなパスワークの担い手だ。
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