クリスティアン・ヴィエリの全盛期はまさに無双 相手DFを圧倒する問答無用のパワーファイター (3ページ目)
【この男を前線に残しておけば......】
2001-02シーズン終了後、ロナウドがレアル・マドリードに去ったため、破壊力抜群のコラボレーションは終焉を迎えた。そしてヨーロッパ全土を騒がせたカルチョボリ(審判買収の八百長事件)により、カルチョ・イタリアーノの信頼も地に堕ちた。
そしてヴィエリ本人は、度重なる負傷によりピッチから遠ざかっていく。2004-05シーズンのリーグ戦13ゴールを最後に、ふたケタゴールは記録していない。2005-06シーズンに所属したミランでは、アンドリー・シェフチェンコ、アルベルト・ジラルディーノ、フィリッポ・インザーギとのポジション争いに勝てず、わずか半年でモナコに移籍した。
2009年夏、ブラックバーン・ローヴァーズ(イングランド)の練習に参加したものの、シーズンの開幕を待たずにイタリアへ帰国。同年10月、キャリアにピリオドを打っている。
インテルを去ったあと、コンディションが急激に落ちていった。回復に努めても、筋肉系の故障がついてまわった。フットボールに対する情熱も消え失せたように映った。
しかし、全盛期のヴィエリはまさに無双。この男を前線に残してさえおけば、カウンターが成立する。レッド、イエロー覚悟で背後からつかみにいったDFが引きずられる。
強くて、速くて、賢く、巧い......。ワールドカップやチャンピオンズリーグなどのタイトルとは無縁だったものの、ヴィエリが世界最高級のストライカーだったことに異論を挟む余地はない。
ヴィエリが血と汗を注いだインテルは今、復活の狼煙をあげている。直近3シーズンでチャンピオンズリーグ決勝に2度進出。ヨーロッパの頂点が手の届くところにまで近づいてきた。
「パリ・サンジェルマンやレアル・マドリードのような経済力を持たずしての結果だ。実に誇らしい。なかでもラウタロ・マルティネスだ。おそらく世界でもトップ5に入るFWであり、チームの模範でもある」
『DAZN』のインタビューに応えたヴィエリの口もとが、ほんの少しだけ綻(ほころ)んでいた。
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