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田中碧はプレミアリーグに昇格 イングランド2部で奮闘する日本人選手の現在地 (2ページ目)

  • 粕谷秀樹●取材・文 text by Kasuya Hideki

【ランパードに認められた坂元達裕】

「チームメイトとサポーターの皆さんに感謝します」

 今シーズンの感想をメディアに問われた田中は流暢な英語で、ちょっとはにかみながら答えていた。この謙虚な姿勢にも多くの女性ファンがキュンとなるのだろう。

 2025-26シーズンの田中は、リーズとともにプレミアリーグに戦いの場を移す。優しい笑顔の日本人が、イングランド屈指の古豪チームのど真ん中に立つのだ。

 2023年にベルギーのオーステンデからコベントリー・シティにやってきた坂元達裕も、充実の1年だった。一時は降格圏にまで沈みながら、最終的に6位でフィニッシュした要因のひとつは、間違いなくこの日本人である。彼のエネルギーは、コベントリーの強みでもあった。

「エクセレント」

 フランク・ランパード監督も太鼓判を押していた。現役当時の彼はリオ・ファーディナンドやスティーヴン・ジェラードともにイングランドの黄金世代と言われ、無尽蔵のスタミナと高度な決定力が魅力だった。

 若かりし自分を思い出しているのか、いわゆる「推しメン」なのか、ランパードは坂元を語る際に相好を崩すケースが多々ある。基本システムの4-2-3-1では右ウイングとして、プランBの3-4-2-1ではシャドーとして貢献する坂元に期待し、信頼している証だ。

 ブリストル・シティとのプレーオフに敗れ、プレミアリーグ昇格こそ逃したものの、坂元とコベントリーは来シーズンに向けて確かな手応えをつかんだ。42試合・4ゴール・6アシストは上々のスタッツ。ジャンプアップの時が近づいている。

 田中や坂本に限らず、今シーズンのチャンピオンシップでは日本人選手の活躍が光った。

「しょせん2部だろ」という言葉は聞き捨てならない。レアル・マドリードで絶対的な地位を占めるジュード・ベリンガムがバーミンガムで研鑽を積み、クリスタル・パレスのFAカップ優勝に尽くしたアダム・ウォートンがブラックバーン・ローバーズで鍛錬するなど、チャンピオンシップの厳しい戦いが今日に生きているイングランド代表は少なくない。

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