鈴木彩艶の「ボールを踏む技術」に進化の証 南雄太は「日本のGKの歴史を大きく変える」と絶賛 (2ページ目)
【日本のGKにはない圧倒的な強み】
あるいは、ディフレクティング(手で弾くプレー)の強さもハンパないものがあります。普通なら弾き出せずに失点してしまいそうな強いシュートに対しても、しっかりボールを弾き出すことができる。だから、シュートに力負けして失点してしまうシーンはほとんど見かけません。これも、鈴木のパワーを証明するプレーのひとつです。
もっとわかりやすいのは、キックですね。鈴木のキックは、わずかワンステップでものすごい飛距離のボールを蹴ることができますが、それもパワーがあるからこそ。
GKにとって、背中、お尻、ハムストリングといった体の後ろの部分はとても重要です。その部分において、鈴木にはこれまでの日本のGKにはない圧倒的な強みがあります。
しかも、これだけの体格の持ち主でありながら、アジリティも高く、スピードもある。そういう意味でも、日本サッカー史上、初めて登場したレベルのGKだと思います」
地元クラブである浦和レッズを巣立ったのは、わずか2年前の夏。その後、ベルギーのシント・トロイデンで正GKとして活躍すると、昨夏にはセリエAに昇格したパルマにステップアップ移籍を果たし、すぐに正GKの座を獲得。
鈴木は驚きのペースで成長を遂げている。そのプレーのなかで南氏が指摘してくれたのが、ビルドアップ時のテクニックだった。
「レッズでプレーしていた頃からビルドアップは上手でしたが、現在の鈴木はビルドアップ時にボールを踏む技術を習得しています。細かいことですが、それも鈴木の進化のひとつだと思います。
ビルドアップが上手なGKは、ボールを足裏で踏んで、1度で蹴りたい場所にボールを動かしてキックするプレーをよく見かけます。GKが一歩でキックできるところにボールを置いていると、相手はGKにプレスを仕掛けられないからです。
逆に、ビルドアップを苦手とするGKでよく見られるのが、ボールを体の正面に止めて、キックする時は、ボールではなく、自分の体をどちらかに動かしてからキックするケースです。これだと蹴るまでに時間がかかって隙が生まれるので、相手はプレスしやすくなります。
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