PSGがチャンピオンズリーグ準決勝で先勝 アーセナルよりその攻撃が多彩だった理由 (2ページ目)
【余力を感じさせるPSG】
アーセナルにもチャンスはあった。惜しいと言いたくなるシーンはブカヨ・サカ(イングランド代表)の左からの折り返しをガブリエウ・マルティネッリ(ブラジル代表)がファーポストで合わせ損ねた前半40分のシーンである。
それ以上に決定的と言いたくなるシーンも2度あった。45分にルイス・スケリーのパスを受けたマルティネッリが放った右足シュートと、後半11分、デクラン・ライス(イングランド代表)のパスを受けたレアンドロ・トロサール(ベルギー代表)の左足シュートだ。
いずれも立ちはだかったのはGKジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア代表)。マルティネッリのシュートは身体を張ったセーブで、トロサールのシュートは左手の指先で枠外に弾き出した。
この2本が入っていれば試合はひっくり返っていた可能性がある。マン・オブ・ザ・マッチを選ぶならドンナルンマとなるだろう。
アーセナルはミケル・メリーノ(スペイン代表)が、ライスのFKを頭で決めながら、VARでオフサイドとされる不運もあった。0-1の敗戦は言うならば惜敗に該当する。だが、セカンドレグに向け余力を感じるのは、やはりPSGのほうになる。
アーセナルのミケル・アルテタ監督はこの試合で、選手交代をふたりしかしていない。PSGのルイス・エンリケ監督も3人なので、一見、大差ないように見える。だがアーセナルは負けている展開だった。手を打たなければならない立場にあった。にもかかわらず打てなかった。最初の交代は後半38分(ティンバー→ベン・ホワイト/イングランド代表)。2人目(マルティン・ウーデゴール/ノルウェー代表→イーサン・ヌワネリ/元U-17イングランド代表)に至っては、後半のアディショナルタイムという遅さだった。策がなかったからだと考えられる。ここに弱みを感じる。
PSGと比較するとわかりやすい。その3トップはこの日、左からクヴァラツヘリア、デンベレ、デジレ・ドゥエ(フランス代表)が並んだ。そこに交代でゴンサロ・ラモス(ポルトガル代表)、ブラッドリー・バルコラ(フランス代表)が入った。フル出場したのはクヴァラツヘリアだけだ。デンベレがケガをしたこともあるが、予定どおりの交代だ。イ・ガンイン(韓国代表)まで加えれば、使える攻撃の駒は6人を数える。しかもデンベレは左右、中央の3ポジション、バルコラとクヴァラツヘリアは左右の2ポジション、ドゥエは左右に加えて中盤までできる。
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