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サッカー日本代表に立ちはだかる壁は「強豪国」だけではない。W杯での真のライバルは? (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【日本は欧州の中堅国に勝てるか】

 さらにポーランド、スイス、オーストリア。このあたりの中堅国も実力者を多く抱えている。

 ポーランドで言えば、FWロベルト・レヴァンドフスキ、GKボイチェフ・シチェスニー(ともにバルセロナ)、DFマテイ・キャッシュ(アストン・ビラ)、MFニコラ・ザレフスキ(インテル)。スイスではGKグレゴール・コベル(ドルトムント)、MFグラニト・ジャカ(レバークーゼン)。そしてオーストリアではDFダヴィド・アラバ(レアル・マドリード)、MFマルセル・ザビッツァー(ドルトムント)、MFコンラッド・ライマー(バイエルン)ら。彼らの名前はCLでおなじみだろう。

 世界的に知られた選手が何人いるか。サッカーは名前でするわけではないが、"顔役"を果たす選手が多ければ多いほど相手は怖じ気づく。チームの格は上がる。

 整理するならば、ダークホース候補はノルウェー、モロッコ、トルコ、アメリカ。ポーランド、スイス、オーストリアという欧州の中堅国もベスト8を狙う候補と言える。これらの国々に対し、日本は先を越すことはできるのか。

 上記の国のメンバーと、遠藤航(リバプール)、伊藤洋輝(バイエルン)、上田綺世(フェイエノールト)の名前を並べて比較すれば、いささか頼りない感があるのではないか。久保建英(レアル・ソシエダ)、三笘薫(ブライトン)がCLに出場できていない現実にも物足りなさがある。

 相手を威圧させるに足りるCLベスト16級の選手を何人揃えることができるか。来季は何人の日本人がCLの16強以降を戦うことができるか。チームとしての強化も重要だが、世界にアピールする看板選手の数を増やすことは、それと同じくらい重要だ。

 楽々と通過できたアジア予選のレベルを考えると、欧州組がひとりでも多くCLの舞台に立ち、そこもまれることこそが代表強化に直結すると筆者は考える。今季はとりあえず、伊藤洋輝の健闘を祈ることにしたい。

著者プロフィール

  • 杉山茂樹

    杉山茂樹 (すぎやましげき)

    スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。

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