検索

サッカー日本代表の参考になるフェイエノールト 「サイドがゴールに迫る」サッカーとは (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 三笘、久保はムサ、パイション以上の実力者である。

 サイドアタッカーを生かす編成こそ、「W杯ベスト8」を目標に掲げる森保ジャパンの命運も握ると言えるだろう。すでに記したように、両サイドには異なるタイプのアタッカーが揃い、得点力にも優れる。「ヒメネスとのポジション争いに勝てなかった上田でも勝ち筋はある」というロジックだ。

 フェイエノールトは、ラウンド・オブ16で強敵インテルと対戦する。戦力的には劣勢を余儀なくされるだろう。ストライカー(テュラム、ラウタロ・マルティネス)は欧州でもトップセレクションの相手だけに、2トップの進撃には手を焼く構図になるのは間違いない。しかし、パイション、ハジは十分に打撃を与えられる(パイションはトップでの起用もあり得る)はずだ。

 森保ジャパンが、フランスやイングランドやイタリアのようなW杯優勝国を倒しても、何ら不思議はない。どこまで三笘や久保の得点力を引き出せるか。彼らにウイングバックをさせるなど凡策中の凡策。代表はクラブチームのように戦術を積み上げられるものではなく、個人のキャラクターを最大限に生かすことに主眼を置くべきだ。

 日本のサイドアタッカーたちは、戦略を旋回させるだけの力がある。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

キーワード

このページのトップに戻る