浅野拓磨のスペイン初ゴールを生んだ変幻のポジショニング 現地紙も「名誉回復」と称賛 (2ページ目)
【守備での貢献も大きい】
最近は、久保建英が得点を積み重ねて「ゴールしたら負けない」という不敗伝説まで作り上げている。それだけに、「浅野はまだ1点?」と物足りなさを感じることもあるだろう。しかし、久保は特別な例である。ちなみに、日本が誇る中村俊輔(エスパニョール)、家長昭博(マジョルカ)、清武弘嗣(セビージャ)という中盤のファンタジスタも、まったく歯が立たなかった。
浅野は初ゴールで、今後が問われることになる。
アラベス戦の浅野は4-4-2の右サイドハーフのようなポジションでプレーした。サイドで堅実に敵にふたをし、粘り強くプレスバック。守備の役割を果たす一方、左にボールがある時は大外のストライカーとなり、右サイドバックの積極的な攻め上がりに反応すると、今度は中に位置取りする。変幻のポジショニングが求められたが、戦術的動きが整備されたチームでそれはスムーズだった。
森保ジャパンにおける浅野は、縦を突っ切るスピードや献身性ばかりがクローズアップされる。マジョルカでも、本質的なところは変わっていないが、チームとして、ひとりひとりがどこに立ち、いつ動くか、どこにボールを入れるか、より論理的な落とし込みがされている。おかげで、攻守両面で力を発揮できるのだろう。
アラベス戦も、浅野は周囲との連係守備から有機的にボールを奪っていた。そしてパサーであるセルジ・ダルデルに迅速にパスを送ると、カウンターから、ベダト・ムリキが決定機を得ていた。道筋がはっきりと見えるプレーだった。
マジョルカは1試合平均1点にも満たない得点数ながら現在8位と、久保を擁するレアル・ソシエダ(9位)をも上回る。ひとりも傑出した選手はいない。攻守でやるべき仕事を果たすことで選手はピッチに立ち、チームの強さも出るのだ。
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