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久保建英、現地メディア絶賛の決勝ゴールで「道を広げる」 急浮上、アーセナル移籍はあり?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 2025年のラ・リーガ初戦。レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は、5位のビジャレアルを本拠地に迎えて、1-0と勝利を収めている。ヨーロッパリーグ(以下EL)出場権を得られる5位まで、2ポイント差に迫った。

 決勝ゴールは久保建英だ。

 後半6分、味方が自陣で敵の攻撃を跳ね返したあとのロングカウンターだった。ミケル・オヤルサバルが裏に蹴ったボールに対し、走り出した久保は追走していたダニエル・パレホ(際立ったテクニシャンだが、スピードはない)に競り勝つと、力強く前へボールを運ぶ。そして追いついてきた敵ディフェンスの股をとおし、食らいついてきたGKをあざ笑うように、左足でファーサイドに叩き込んだ。

 一連の果断さ、スピードのなかでのボールコントロール、裏を取るテクニック、冷静なフィニッシュなど、正真正銘、ワールドクラスの一撃だった。何より、0-0で拮抗した場面でのゴールの価値は大きい。あらためて入団以来、「久保がゴールしたら負けない」というタリスマン(お守り)の効果を発揮した。ゲームMVP受賞も当然だ。

ビジャレアル戦で貴重な決勝ゴールを決めた久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA ビジャレアル戦で貴重な決勝ゴールを決めた久保建英(レアル・ソシエダ) photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA この記事に関連する写真を見る 口うるさい現地メディアも、半ば「クボ祭り」だった。

「久保がアノエタ(レアレ・アレーナスタジアムの古くからの通称)を熱くする! ヨーロッパカップ戦出場権争いへ」(「エル・ムンド・デポルティーボ」紙)
「久保が極寒の夜に火をつけた!」(「アス」紙)
「久保の天才性が、ラ・レアルに勝利をもたらした」(「マルカ」紙)

 スペイン大手スポーツ紙はこぞって、久保のパフォーマンスを激賞している。主要3紙とも、久保に両チームを通じて最高の星3つを与えた。

 2025年、久保はどこへ向かうのだろうか―――。

〈ラ・レアルを勝たせる〉

 それが今後も、久保のミッションになるだろう。簡単な仕事ではない。ビジャレアル戦も、久保以外からはチャンスの匂いが薄かった。

 ブライス・メンデスが本来の出来には程遠く、セルヒオ・ゴメスはバックパスばかりでブレーキ。アンデル・バレネチェアはケガもあってフィットせず、オーリ・オスカールソンは適応している段階。ウマル・サディクに至っては使い物にならず、100万ユーロ(約1億6000万円)の格安のレンタル料(移籍金はクラブ史上最高の2000万ユーロだった)でバレンシアに貸し出した。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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