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プレミアリーグで今見逃せないクラブは? 水沼貴史がオススメのチームのよさを徹底解説

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko

プレミアリーグ中間地点のおススメ チーム編

ハイレベルな攻防を繰り広げている、イングランドのプレミアリーグが人気だ。シーズン半ばを迎えたが、今、見るのにオススメのチームがどこか。試合中継の解説を務める水沼貴史氏に教えてもらった。

【チームの幅が広がったリバプール】

 今季のプレミアリーグを語る上で、まずはリバプールを挙げないわけにはいかない。長期政権を築き、サポーターから特段に愛されたユルゲン・クロップからアルネ・スロットに指揮官が変わったことは、一大トピックだった。今季のリバプールがどう変わるのかは世界中が注目していた。

今季のプレミアリーグで首位を走るリバプール photo by Getty Images今季のプレミアリーグで首位を走るリバプール photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る スロット監督になってなにが変わったか。クロップ監督時代の強度が高く、縦に速いというよさは残しながら、対策を取られた時にポゼッションしましょう、少しボールを持ちましょうと。その質を上げることによって、相手を引き出して背後を取るなど、戦術的な部分でバージョンアップ、ブラッシュアップされている。

 そのなかで一番の変化はアンカーのMFライアン・フラーフェンベルフの存在。バイエルンやクロップ監督時代にはなかなか芽が出なくて、スロット監督になってようやく開花。代わりに遠藤航が出場機会を失ったのも仕方ないと思えるほど、ハイパフォーマンスを見せている。

 スロット監督がオランダ人であることは、大きい要素かもしれない。彼の能力を一番わかっているし、自分の戦術に落とし込んだ時に、彼の能力がどう生きるかもわかっている。それからコミュニケーションが取りやすくなり、求められる役割もわかりやすかったはず。

 それによって信頼を得られた部分はあったと思う。そこで感じたのは、選手は信頼されると伸びるということ。メンタル的な影響が大きいと思うけれど、それによって本来の能力が発揮されて、より伸びていく。やっぱり信頼されるのは大事だなとあらためて感じた。

 彼以外もFWモハメド・サラーやMFカーティス・ジョーンズ、MFドミニク・ソボスライなど、選手の能力を生かす眼、采配が適正だったと思う。それによってクロップ監督時代からメンバーはそれほど変わっていないけれど、強度は落とさずにチームとしての幅が広がって、プラスアルファが加えられている。

 ここまで首位を独走しているが、調子を崩す要素は見当たらない。先日(12月14日)のフラム戦は前半の早い時間帯に退場者を出して、ひとり少ないにもかかわらず、相手を圧倒するほどの勢いがあった。チームの自信や勢いがどこまで続くのか見ものだ。

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著者プロフィール

  • 水沼貴史

    水沼貴史 (みずぬま・たかし)

    1960年5月28日生まれ。埼玉県出身。浦和南高校、法政大学で全国優勝を経験。JSL日産自動車でも数々のタイトルを獲得し、チームの黄金時代を築いた。日本代表では国際Aマッチ32試合出場7ゴール。Jリーグスタート時は横浜マリノスで3シーズンプレー。引退後は、横浜F・マリノスのコーチや監督を務めた。現在は解説者として活躍中。

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