旗手怜央が充実の今シーズン前半を振り返る「自分のプレーの善し悪しが結果を左右する」 (3ページ目)
【自分のプレーの善し悪しが結果を左右する】
また、今季はブレンダン・ロジャース監督から、守備に関して言われていることを強く意識している。相手のボールホルダーに対して、自分がプレスを掛けにいくことや、プレスバックすること、またセカンドボールを拾いにいくことを求められているため、そこは徹底している。一方で、攻撃については、チームとしての決まりや約束ごとはあるものの、多くを言われないのは、信頼の証だと受け取っている。
その信頼は、出場時間にも比例してきている。シーズン当初は、60分から70分での交代が多かったが、11月2日に行なわれたスコティッシュリーグカップ準決勝のアバディーン戦(6-0)でフル出場したのを機に、最近は試合終盤までピッチにいることが多くなった。
それに伴い自分のプレーや選択に変化も生まれている。
第30回のコラムで、「FWに対して、走っていたのが見えていると感じてもらえるパスを出すこともある」と綴った。
最近は、「リスクのあるパスはそれほど出さない」というプレーから、状況的に五分五分、もしくは多少のリスクがあるパスでも狙うようになった。それは結果的に失敗したとしても、ロジャース監督は、悪いプレーだと思わないのではないかという信頼を感じているからだ。
おそらく「レオが通せなかったのであれば、仕方ない」と考えてくれるのではないか。そして「そこを通せればチャンスが生まれた」と、ポジティブに捉えてくれるのではないか。自分自身にとっても、その思考は、プレーにポジティブな効果を生んでいるように思う。
また、周りを動かす、周りをコントロールするなど、試合の状況や展開に応じた指示も的確にできるようになってきた感覚もある。
例えば、アンジェ・ポステコグルー監督が率いていた時のセルティックは、サイドバックが内側のポジションを取り、インサイドハーフである自分は外側に開くケースがあった。
同様に今季のセルティックも、例えばスコティッシュリーグカップ決勝のレンジャーズ戦では、サイドバックが内側に入ってくることがあった。しかし、試合の状況や相手の配置を見て、それは効果的ではないと判断した。そのため、ハーフタイムにサイドバックの選手に「内側に入らないようにしよう」と指示を送った。
それによって後半からは、自分が下がってボールを受けるようになり、サイドバックを効果的に押し上げ、さらにウイングの選手も高いポジションを取れるようになった。
芽生えているのは、ピッチにいる自分の責任感と自覚だ。自分のプレーの善し悪しが結果を左右するし、結果に直結する。
たとえマークが厳しくなろうとも、限られた時間とスペースで何ができるか。自分がさらに成長するために、次なる課題に目を向け続けている。
著者プロフィール
旗手怜央 (はたて・れお)
1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2022年3月のカタールW杯アジア最終予選ベトナム戦で、A代表デビューも果たした。2022年1月より、活躍の場をスコットランドのセルティックに移して奮闘中。
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