三笘薫の交代直後に同点に 格下相手に勝てないブラントンに何が起きているのか (3ページ目)
だが、相手のディフェンス陣にとって恐いのはゴールライン際からの折り返しだ。右足のアウトがせいぜい真横からであるのに対し、こちらはマイナスだ。決定機の質で上回るのはマイナスのパス。シュートに持ち込む難易度もマイナスのほうが何倍も低い。
フラム戦の三笘は、純然たるウインガーとして臨んだわけではない。シャドーの役割を2割程度求められる、複雑な役を演じている。だがそれでもフルタイム出場を果たした。過去15戦中、スタメンから漏れたのは1度きりだ。
レスター戦でも4人のアタッカーのなかで三笘の活躍度はけっして高いわけではなかったが、それでも後半44分までピッチに立っている。アタッカーにありがちな"俺様系"ではない。楽天家でもない。強引さに欠けるが、ミスは少ない。計算できる選手なのだ。監督がデ・ゼルビからハーツラーに代わっても、その解釈に変化はない。
だが、ドリブル&フェイントはトライすればするほど上達する。翻って、トライしなくなるほどへたになる、抜けなくなると言われる。ウイングより平均20メートル近く低い位置で構えるウイングバックとして出場する森保ジャパンでも、対峙する相手の右SBに仕掛ける機会は少ない。
注目すべきは、次戦のクリスタルパレス戦の布陣だ。三笘はどこに収まるのか。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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