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チャンピオンズリーグ序盤戦総括 好調なリバプールとバルサ、日本人所属クラブ大健闘 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【出遅れたレアル・マドリード】

 2015-16シーズンから9シーズン監督を務めたユルゲン・クロップから、アルネ・スロットへの監督の引き継ぎ作業がスムーズに行なわれたことがなにより大きい。2018-19シーズンのCLや2019-20シーズンのプレミアリーグで優勝を飾るなど、一時代を築いたクロップ監督の後任となれば、かかるプレッシャーは大変なものだ。だが、成績のみならず、サッカーそのものまでクロップ時代より見栄えのよいものになっている。

 ジョゼップ・グアルディオラ的。母国オランダ的でもある。直近の4シーズン、スロット監督はフェイエノールトで采配を振っている。昨季はチームを久方ぶりにCL本大会へと導き、グループリーグで3位の成績を収めていた。決勝トーナメント進出は逃したが、好チーム度が際立つ出色の出来だった。そこに目をつけたのがリバプール。慧眼と言うほかない。

 一方で目につくのは、昨季、通算15度目の優勝を飾ったレアル・マドリードの出遅れだ。リールとミランに敗れ、現在2勝2敗。18位に低迷する。キリアン・エムバペを迎え、大会前は大本命に挙げられていた。国内リーグでも、マドリードホームでのクラシコでバルセロナに0-4で大敗。円滑なスタートとはいかなかった。

 レアル・マドリードはクリスティアーノ・ロナウド退団後、強チームというより、好チームに変貌を遂げていた。戦力的に見て必ずしも欧州一ではなかったが、しぶとさ、勝負勘、試合運びのうまさで接戦をものにしながら、トーナメントを勝ち上がっていった。

 そこにエムバペという超大物が加入した。ヴィニシウス・ジュニオール、昨季加わったジュード・ベリンガムと、スター選手の数は確実に増えている。その分、好チーム度が失われている印象だ。それが行きすぎてしまうと、銀河系軍団と言われたかつてがそうだったように、勝てないサッカーに陥る。今季これから、好チーム度をどこまで回復することができるか。

 CLでは次戦、リバプールとアウェーで対戦する。まさにシーズン前半の大一番である。18位に低迷するレアル・マドリードにとって負けられない試合になる。

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